3年ぶりの開催「六本木アートナイト2022」の楽しみ方 村上隆コラボの『ドラえもん』や最新アートで3連休の六本木が芸術に染まる!

9月17日から19日まで、六本木の街を舞台に開催される「六本木アートナイト2022」。新型コロナウイルス感染拡大の影響による延期、中止を経て3年ぶりの開催となる「六本木アートナイト」。ここでは今年の開催概要に触れつつ、初参加の方でもよくわかる六本木アートナイトの楽しみ方を伝授いたします。

そもそも「六本木アートナイト」って何?

国立新美術館や森美術館、サントリー美術館をはじめとした美術館や文化拠点が点在し、街全体にアートの気風が流れる六本木を舞台に年に数日だけ開かれる“アートの饗宴”です。2009年に初開催され、新型コロナウイルス拡大防止の観点から去年と一昨年は惜しくも延期の末に中止となりましたが、今年は3年ぶりに開催されます。
2022年の開催期間は、9月17日から19日までの3日間(一部作品は先行展示)。リアルとデジタルの両面で、六本木の街がいつも以上にアートに染まります。

「六本木アートナイト」って何が楽しいの?

六本木アートナイトの主な開催場所は、メインプログラムが行われる六本木ヒルズと東京ミッドタウン、そして森美術館、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街の計7か所。それぞれの施設の各所にインスタレーション等が展示され、連携したプログラムも展開されます。

これらの拠点以外にも、街なかのいろんなところに、新進気鋭のアーティストによるオブジェやインスタレーションが登場。拠点から拠点へ移動しながら、その途中にもアートな体験が潜んでいます。見るだけではなく参加型のアートも多く、一部のプログラムを除き鑑賞は無料なので、普段アートにあまり触れることがないという方でも楽しみながら気軽に芸術に触れられます。

詳しくプログラムを知らなくても、まずは六本木に来れば必ずどこかでアートに出逢い、探検するような気分になれるのが六本木アートナイトの醍醐味といえるでしょう。

今年の見どころは?

「この街で、アートの不思議を探せ!」がテーマの今年は、リアル、オンライン合わせて約70組のアーティストが参加。3日間で約100もの多彩なプログラムが展開されます。

村上隆 Photo by RK (IG:@rkrkrk) ©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©Fujiko-Pro

その中でメインプログラムとなるのは、日本を代表する現代アーティスト・村上隆が手がける『ドラえもん』の巨大オブジェです。六本木ヒルズアリーナには、村上の代名詞的なモチーフである「お花」とコラボレーションした高さ約10メートルのドラえもんが出現。また、東京ミッドタウンにも高さ約4メートルのドラえもんが表れます。

<村上隆 六本木ヒルズアリーナ展示予定作品> ©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©Fujiko-Pro

また、今回は村上がキュレーションした12組のアーティストたちによるドラえもんも展示。六本木ヒルズアリーナ、東京ミッドタウン、国立新美術館、ラピロス六本木の4か所で、新進アーティストたちの斬新なイメージが表現されたドラえもんを見ることができます。メインとなる村上隆の作品はもちろん、他のドラえもんもチェックして、あなたの好きな“新しいドラえもん”像を見つけてみてください。

左上/タカノ綾 ©Aya Takano/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©Fujiko-Pro 右上/青島千穂 ©Chiho Aoshima/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©Fujiko-Pro 左下/村田森 ©Shin Murata/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©Fujiko-Pro 右下/ob(オビ) ©ob/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. ©︎Fujiko-Pro

もちろん、そのほかにも見どころはいっぱい。全部をお伝えするのは難しいので、その中でまずは六本木ヒルズと東京ミッドタウンの2拠点で行われるプログラムの一部を紹介します。

六本木ヒルズにはメインプログラムに加えて、六本木ヒルズアリーナやウェストウォークなど7つの街なかインスタレーションを展示。1万個以上のスティック型バルーンで製作されるデイジーバルーンの《Wave》、来場者がペダルを漕ぐことで約2メートルの巨大万華鏡が周りの風景を切り取った景色を作り出す井口雄介の体験型展示《KALEIDOSCAPE》など、今年も館内各所にあっと驚くアートが出現します。

デイジーバルーン《Wave》

井口雄介《KALEIDOSCAPE》  ©YusukeIguchi

そのほか、氷染色という独自技法を持つ氷染作家SAYAKA ASAIとタップアーティストのLilyによる足音と氷音のコラボ《Session.》と、インドネシア影絵人形をデジタル映像とノイズアンビエント的な音楽との融合で見せるマクータの《デヴォ・ルチ》など、映像によるライブパフォーマンスにも注目。

マクータ《デウォ・ルチ》

一方で、東京ミッドタウンには、3つの街なかインスタレーションに加えて、7つの立体作品、平面作品が館内各所に展示されます。そのうち、古谷崇久の《人工知能による顔の識別》は、粘土を使って鑑賞者の首像を即興で作るというパフォーマンス。人工知能の発展によって人類の記憶力は鮮明になるのかというテーマに挑んでいます。magmaによる「六感」をテーマにしたコラージュ作品《ROCK’N》なども見どころ。

古屋崇久《人工知能による顔の識別》

そして中心施設以外でも、例えば、六本木の中心的存在である六本木交差点では、“KAWAII(かわいい)”の世界観で世界を魅了するアーティスト・増田セバスチャンが手がける2つの作品を展示。

増田セバスチャン《Polychromatic Skin -Gender Tower-》 (イメージ)

「Polychromatic Skin」と名付けられた作品シリーズは、「私たちの皮膚の下にはカラフルな血が巡っている」をコンセプトに、ジェンダー(性差)をはじめ、人種、宗教、年齢、国境など、世界にある様々な固定概念や隔たりを突き破る、解放するという思いを表現したもの。特に、高くそびえる《Polychromatic Skin -Gender Tower-》は、六本木交差点の景色を普段と大きく変えることでしょう。ロアビルの外壁にも同シリーズの作品が登場し、かわいくてカラフルなアートが、異文化が混ざり合う街・六本木にさらなる色を加えます。

増田セバスチャン《Polychromatic Skin -Gender Wall-》 (イメージ)

六本木西公園は、六本木アートナイト期間中だけ「アートにエールを!広場」に大変身。17日、18日の2日間、「アートにエールを! 東京プロジェクト」からセレクトされた8名のアーティストによるライブペインティングが行われます。プロのアーティストが作品を描く姿が生で見られる貴重な機会。子ども連れのファミリーにもおすすめの企画です。また六本木アートナイトでは、同プロジェクトに参加する3名のアーティストによるインスタレーションも展示されます。

六本木西公園

なかには、開幕に先立って9月上旬から先行公開されている作品もあります。展示時間、パフォーマンスの開催時間など、より詳しい情報は公式ホームページをチェックしてみてください。

前回までと変わった点は?

例年、オールナイトで開催されてきた六本木アートナイトですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止を鑑みて深夜のプログラムはありません。その代わり、開催期間が2日間から3日間に変わり、例年より長い日数、展示作品を楽しめるようになりました。(ただし、最終日の19日は18時で展示終了になるプログラムが多いので注意!)

また、「六本木アートナイト・デジタル」という形で、六本木アートナイトの公式ウェブサイトや公式YouTubeチャンネル「RAN TV」を通じたリアル開催を記念したプログラムを9月3日から積極発信中。リアル開催との連動企画や、2009年の初開催から前回まで六本木アートナイト実行委員長を務めた、森美術館の南條史生前館長による過去の開催の振り返りトークなどのほか、数々の映像作品を見ることができます。リアル開催が待ちきれないという方はもちろん、いろんな事情でリアル開催に行くのは難しいという方も、六本木アートナイトの雰囲気を楽しめる内容になっています。

ツウな楽しみ方は?

例年のようにオールナイト開催ではありませんが、遅くまで公開されているものは22時まで鑑賞できるという特別なイベント。そして、作品のある場所から作品のある場所へと回遊しながら、街全体を美術館のように感じながらアートにどっぷり浸かるというのが、六本木アートナイトの楽しみ方です。たくさん見るところが多いがゆえに、アート鑑賞だけを詰め込んでしまいそうですが、せっかくの機会なので、途中にランチやコーヒーブレイクを挟んだり、ショッピングを楽しんだりして、昼から夜までの時間をたっぷり使いながら六本木の観光を満喫していただけると嬉しいです。

また、公式ホームページからダウンロードできる公式ガイドブックを事前に読んで、見たいものをじっくり吟味してから訪れるのもいいですし、あえて詳しい情報を入れず、まさに今回のコンセプトである「この街で、アートの不思議を探せ!」の気分でアートの冒険に出るのもいいでしょう。ここで紹介した以外にも本当に幅広いプログラムが用意されているので、誰でもアートにどっぷり浸かれる3連休になることは間違いなし!

【六本木アートナイト 公式ホームページ】
https://www.roppongiartnight.com/2022/

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