夏の猛暑を吹き飛ばせ! 東京・港区の避暑地ポイント

まもなく到来する夏本番。連日にわたって真夏日のような暑さが続くと、旅行やお出かけでも涼しい場所でリフレッシュしたいという気持ちが高まりますね。実は公園や水辺が多い東京・港区は、都心にありながらも意外な涼感スポットの宝庫。ここではその一部を目的別にご紹介。都会の中にある避暑地でつかの間の涼を感じてみてください。

【お台場】水陸両用バス「TOKYO NO KABA」で東京湾一望の景色に涼!

水辺のスポットが点在し、潮風が涼感を与えてくれるベイエリア。水辺のレストランやカフェでも涼しさを感じられるエリアですが、それ以上に涼しい体験を提供してくれるのが水陸両用バスの「TOKYO NO KABA」です。

“カババス”の愛称で知られる「TOKYO NO KABA」は、お台場観光で人気のアトラクション。アクアシティお台場を起点に1日4〜8便(現在は新型コロナウイルス対策として、土休日のみ1日4便)運行しています。

約45分のコースは、お台場の陸上観光をした後、お台場海浜公園に設置された専用スロープから東京湾に入り、レインボーブリッジをくぐって戻ってくるという行程です。

アクアシティお台場1階にある受付で“乗船手続き”を終えたら外にある乗り場へ。乗客を待つ白い車体は、バスでありながら、フロントガラスの下が船首のようにちょこんと突き出した不思議なビジュアル。窓が大きな車内は、座席はバスと同じでも視界は遊覧船に乗っているかのような開放感です。

楽しいガイドを聴きながら15分ほどお台場の町を走り、ついにやってくるダイブの瞬間。スロープを下っていくと胸のドキドキが止まらない。そしてガイドのかけ声とともにジャバーンと海に飛び込むと、涼しさ最高潮のスプラッシュ!

動力を車輪からスクリューに変えて海上を突き進む姿は、周囲を行き交う船の中でも圧倒的な存在感。海上からベイエリアを一望する風景からは陸上とは違う爽快感が味わえます。

なお、空席があれば当日受付でも乗車可能ですが、できれば電話かインターネットで予約しておくのがおすすめ。詳しくは「TOKYO NO KABA」の公式サイトをご確認ください(東京オリンピック・パラリンピック開催期間は別場所での運行となる場合があります)。

【白金台】「国立科学博物館附属自然教育園」で水辺の自然に涼!

白金台にある「国立科学博物館附属自然教育園」は、常緑広葉樹林をはじめとする豊かな自然環境から“都心のオアシス”と例えられるスポットです。広さ約20ヘクタールの園内は全域が国の天然記念物及び史跡に指定。国立科学博物館に所属する研究員の方々の調査研究の場でもあり、これまでに3500種以上の植物や動物が確認されています。

写真提供:国立科学博物館附属自然教育園

正門横の教育管理棟で入場券を購入したら、まずは同じ建物内にある展示ホールを訪れてみましょう。ここでは自然教育園の成り立ちや園内で見られる動植物などについて、基本的な情報を知ることができます。その時期の見どころも紹介されているので散策の予習はここでバッチリ。

写真提供:国立科学博物館附属自然教育園

園内には合わせて3つの植物園が点在し、生き物が生息する環境が維持されています。そのうち、教育管理棟を出て最初に通るのが、散策道の両脇に四季折々の植物が見られる路傍植物園。この時期は青々と葉を茂らせた木々のざわめきにマイナスイオンの癒しを感じられるはず。

写真提供:国立科学博物館附属自然教育園

路傍植物園を抜けると、ひょうたん池、水生植物園と続く水辺のエリア。周囲の緑を写し込む水面は涼感抜群。西側にも水鳥の沼やいもりの池という水場があり、野鳥が水遊びをしたり水の上をスイスイと泳ぐ姿にほっこり。

写真提供:国立科学博物館附属自然教育園

また、この場所は白金の歴史を伝える重要な史跡でもあります。古くは室町時代に白金の地名の由来である「白金長者」と呼ばれた豪族の館があった場所とされ、その後、江戸時代には高松藩の下屋敷、明治時代には陸・海軍の火薬庫、そして大正時代から昭和の中頃までは宮内庁の御料地と変遷を遂げてきました。園内には中世の館跡とされる土塁や江戸時代からある「物語の松」など、過去の名残を伝えるポイントが点在しています。

写真提供:国立科学博物館附属自然教育園

7月はヤマユリ、ミソハギ、ノカンゾウなど、8月はキツネノカミソリ、カワラナデシコ、コバギボウシなどが見ごろ。時の流れを忘れて、ゆったりのんびりしたくなるスポットです。

【芝】「東京 芝 とうふ屋うかい」の夏限定コースで冷たいお豆腐に涼!

涼感ある食べ物といえば、透き通るように綺麗なお豆腐もそのひとつ。東京タワーのお膝元に立つ「東京 芝 とうふ屋うかい」は、涼しさ感じる日本庭園を眺めながら自慢のとうふ会席料理がいただけるお店です。

1964年に高尾山麓で創業した、うかいグループの系列店として2005年にオープンした「東京 芝 とうふ屋うかい」。特別感を漂わせる長屋門をくぐると、そこには周囲の喧騒から離れた静かな空間が広がっています。

「物語のある空間」を意識した店内は、山形から築200年を越える造り酒屋の建物を移築するなど、日本の伝統美と江戸情緒が融合した重厚な趣き。さらに数寄屋造りの個室や漆塗りの回廊などによって構成され、訪れる人を特別な時間に誘ってくれます。

八王子・大和田の銘水と目利きで選んだこだわりの国産大豆が「うかい豆腐」の要。夏はそのお豆腐を冷たい昆布出汁でいただく「松前とうふ」のコース(12900円、サービス料別、8月10日まで)が名物です。旬のじゅんさいとともに器の中で輝くお豆腐は何とも風流。

そのほか、庭園の田楽処で一枚一枚丁寧に炙った「あげ田楽」や前菜など、季節を感じる料理の数々が心のこもったおもてなしとともに供されます。落ち着きある和の空間、夏の季節感ある料理、そして緑豊かな日本庭園という三拍子で、視覚でも味覚でも涼が感じられます。

約2000坪の敷地の中に作られた広大な日本庭園は食後の散策も可能。旅の記憶に残る涼感たっぷりの食事をぜひ体験しに訪れてみてはいかがでしょう。

【南青山】「根津美術館」でアートな日本庭園に涼!

明治時代から昭和の初めにかけて活躍した実業家・初代 根津嘉一郎の日本・東洋美術のコレクションを中心に、尾形光琳の「燕子花図屏風」をはじめとする多数の国宝と重要文化財を所蔵する根津美術館。多彩な企画展でファンの多いこの美術館も実は隠れた涼感スポットです。

竹の生垣を抜けて入館すると、まず視界に映るのはガラス張りの窓越しに広がる緑豊かな日本庭園。自然の地形を生かして池や園路を配した深山幽谷の趣ある庭園は、展示と並ぶ根津美術館のもうひとつの見どころであり、ひと時の涼を誘ってくれる癒しある空間です。

園内には4つの茶室があり、各所に石像や灯籠が配置されていて散策する楽しみが満載。「根津美術館八景」と呼ばれる景観があるのでそれらを探して歩くのもいいですし、または園内のNEZUCAFÉ(ネヅカフェ)で庭を眺めながらのコーヒーブレイクもいいでしょう。

6月1日から7月11日までは、茶の湯の世界で愛好家が最も愛着を持つ二つの道具『茶入と茶碗』の企画展を開催中。茶入と茶碗を観賞する指針を示した本『大正名器観』の刊行百年を記念し、同書の成立過程や編者である高橋義雄と初代 根津嘉一郎の友情を数々の所蔵品とともに紐解きます。さらに7月22日から8月22日までは、四季折々の草花や自然の景物が表現された絵画や工芸、および、それらを詠んだ和歌が記された古筆切などを展示する企画展『花を愛で、月を望む』が開催されます。

美術を愛で、庭園で涼む。両方を満喫すれば、暑い夏でもきっと清々しい気分になれるはず。

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