令和4年も開催決定! お正月恒例の「港七福神めぐり」で御利益パワーをいただこう(前編)
東京・港区にある8か所の神社と寺院をめぐる新年恒例の「港七福神めぐり」が、令和4年(2022)も元旦から1月10日にかけて開催されます。初詣の時期に芝や麻布十番、六本木の6社2寺を巡拝する七福神めぐりは、東京タワーや六本木ヒルズなど港区を代表するスポットとの観光を兼ねて回れる「寄り道したくなる七福神めぐり」であるのが大きな特徴です。今回は巡拝のルールをお伝えしつつ、実際に港七福神めぐりをされる方への参考として公式モデルコースを歩いてみたいと思います。
東京・港区内の6社2寺を巡拝する「港七福神めぐり」
昭和41年(1966)に始まった「港七福神めぐり」は、昭和初期に行われていた「麻布稲荷七福神詣」を前身とする由緒ある七福神めぐりです。現在は宝珠院(弁財天)、飯倉熊野神社(恵比寿)、大法寺(大黒天)、麻布氷川神社(毘沙門天)、櫻田神社(寿⽼神)、天祖神社(福禄寿)、久國神社(布袋尊)の七福神に「宝船」の十番稲荷神社を加えた6社2寺が巡拝所になっています。毎年元旦から成人の日までが開催期間となっており、令和4年は元旦から1月10日までの日程で開催されます(御朱印等の対応は各日9:00〜17:00、最終日の集印開始受付は14:00まで)。七福神めぐりというと元旦から1月7日までが一般的な日程ですが、港七福神めぐりは他よりちょっとだけ長い期間楽しめるところがポイントです。
港七福神めぐりでは、最初の巡拝所でいただく「専用色紙」への書き入れ、もしくは書き置きの和紙によって七福神の御朱印をいただくことができます(御朱印代は1か所各500円)。感染症拡大防止の観点から、持参した御朱印帳や色紙への書き入れは不可となっているので注意しましょう。なお、日付はすべて「令和四年正月吉日」か「令和四年正月」。御朱印集めだけでなく、8か所のお守りがひとつの絵柄に繋がる「御守あつめ」も人気です。
まずは目的に合った巡拝コースを考えよう!
港七福神めぐりは全行程で約6kmの道のりです。巡拝所を回るだけなら徒歩で3時間から4時間程度の距離ですが、混雑や休憩、途中訪れる場所での立ち寄る時間を考慮するともう少し長い時間が必要になるでしょう。その上で重要なのがスタートからゴールまでのコース決めです。港七福神めぐりに決まった巡拝の順序はありません。それでいて道中には、東京タワーや麻布十番商店街、六本木ヒルズや国立新美術館など寄り道したくなるスポットがたくさんあります。「どこでランチをとるか」や「立ち寄りたいポイント」などを考えながら自分に合ったコースを決めるといいでしょう。なお、1日で歩き切る予定であれば参拝時間と寄り道の時間も考慮しながら午前の早い時間にスタートすることをおすすめします。
今回は港七福神めぐり公式サイトに掲載されている上の参考ルートをモデルに、実際のコースを歩いてみたいと思います。
最初の巡拝所は弁財天さまが待つ「宝珠院」
今回は東京メトロ・赤羽橋駅をスタート地点に、まずは駅から徒歩約5分のところにある「宝珠院(弁財天)」を最初の巡拝所とします。駅到着時刻は午前10時前。地上に出ると、さっそく目の前には東京タワーを間近に見上げる港区ならではの景色が表れてきました。
宝珠院はその東京タワーのお膝元に広がる芝公園の園内にあります。増上寺の塔頭のひとつで、貞亭2年(1685)開創の歴史あるお寺でありながらモダンな趣の本堂が印象的です。境内の横には“最後の浮世絵師”と呼ばれた昭和の版画家・川瀬巴水が作品の題材とした弁天池もあり、水面に東京タワーを映した清涼な景観を作り出しています。
ここに御本尊の阿弥陀如来とともに祀られている弁財天さまは、なんと徳川家康公が念持仏にされていたという「開運出世大辯財天」。もともとは平安時代の858年に造られた「除波尊天」という像でしたが、これを篤く信仰し、天下人にまで上り詰めた開運のご利益から家康公によって現在の名に改められました。家康公の御命日である4月17日のみ御開帳される秘仏は、厨子からもただならぬオーラが伝わってきます。
やはりここを七福神巡りのスタート地点にする方は多いそうで、「毎年お越しになるご年配の方の中には『これができるうちは健康だ』と仰る方もいらっしゃいますよ」とご住職。季節の限定御朱印やミニ御朱印もあって御朱印巡りでもともと人気の寺院だけに、境内には常に参詣客の姿があります。
また、ここに来たら港区の指定有形文化財にも登録されている高さ2m、寄木造りの閻魔大王にも必ずお参りを。そのほか、蛙、蛇、蛞蝓(なめくじ)の「三竦(すく)みの像」があったり、悪い行いを懺悔できる「閻魔耳」を設けていたりと、最初の巡拝所から見るべきものがいっぱいです。
東京タワーを右手に眺めながら「飯倉熊野神社」へ
宝珠院を出て桜田通りを経由して約10分。飯倉交差点の手前にある土器坂(かわらけざか)の途中に次の巡拝所となる「飯倉熊野神社(恵比寿)」があります。ここで気になるのは土器坂という独特な地名。その由来には、かつてこのあたりに土器職人が住んでいたという説と、平安時代に最強と謳われた頼光四天王の一人・渡辺綱がここで川原毛の丈夫な馬を買ったからという2つの説があります。
飯倉熊野神社の創建について確かな記録が残っていません。しかし、言い伝えによれば、7〜8世紀に芝浦の海辺に鎮座された後、15世紀の文明年間に太田道灌の勧請によって現在の地に再建されたそう。素戔嗚尊、伊弉諾尊、伊弉冉尊の三神を御祭神とし、地域の御鎮守様として古くから町を見守ってきました。
戦に勝った道灌がたびたび鯛を奉納に訪れたことから、左手に鯛を持つ恵比寿にちなんで「恵比寿稲荷」とも呼ばれて港七福神の一社に。ビルや住宅が集まる界隈の中に立つ神社は、規模は小さいながらも地元の方々から愛されていることが伝わってくる厳かな佇まいです。
「十番稲荷神社」で七福神の宝船と記念撮影
3か所目の巡拝所である「十番稲荷神社(宝船)」までは、渋谷方面から東京湾へ流れる古川沿いの道を歩いて約20分の道のりです。途中に公衆トイレ併設の児童遊園があるので、ひと休みするならここのベンチがおすすめ。
この後もやや長い距離を歩く場面や急勾配の坂道がありますが、周る順番だけでなく周る方法も自分好みにアレンジできるのが港七福神めぐりのいいところ。例えば、この場面で赤羽橋駅から麻布十番駅まで地下鉄を利用して移動してもいいですし、各地にポートがあるシェアサイクルを活用するのもOK。あるいは観光を織り交ぜながら複数日に分けて巡拝するなど、思い思いの周り方を選ぶことができます。
麻布十番駅前の交差点に出ると、商店街の楽しそうなにぎわいに心が奪われそうですが、先にまずは十番稲荷神社にお詣りしましょう。
十番稲荷神社は港七福神めぐりならではの「宝船のおやしろ」の巡拝所です。立派なしめ縄がかかる鳥居の横には七福神が乗った宝船の石像が置かれています。
御祭神は倉稲魂命、日本武尊、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の五神。慶長年間創建の末廣神社と弘仁13年(822)の創建とされる竹長稲荷神社をルーツとする神社で、戦時中の空襲による両神社の消失にともない、戦後に合併して十番稲荷神社になりました。倉稲魂命は商売繁盛の神様として知られ、港区内で唯一、酉の市が開かれる神社として毎年11月には縁起物の熊手を求める人で賑わいます。
そのほか、2020年放送の朝ドラ『エール』で登場人物のモデルになったとされる歌手の音丸(本名・永井満津子)が奉納した狛犬や、麻布七不思議のひとつ・ガマ池伝説にちなんだ石像など、思わず写真に撮りたくなるポイントも。大小2体並んだかえるの石像は近所の方たちから「かえるさん」と呼ばれて親しまれる、この神社のマスコット的存在です。
食べ歩きも楽しい麻布十番商店街でランチタイム
3か所の御朱印が集まったところでちょうどお昼時の時間帯。十番稲荷神社の目の前は老舗の飲食店やおしゃれなオープンカフェなどが集まる麻布十番商店街なので、食事をする場所には困りません。店内で食事するのもいいですし、寒い時期ではありますが、お弁当やテイクアウトグルメを持ち寄って、「きみちゃん像」のいるパティオ十番の公園で青空ランチというのも良いアイデアです。
そして、たい焼きや大判焼きなど食べ歩きできるお菓子のお店が多いのもこの商店街の魅力です。その中でも七福神つながりのものを探すなら、雑色通りにある「紀文堂」へ。明治43年(1910)創業の老舗和菓子店では職人歴50年以上のご主人が昔ながらの製法で作る優しい味の七福神人形焼が購入できます。七福神の顔をかたどった人形焼は食べてしまうのがもったいないくらいの愛らしさ。おみやげにもぴったりな一品です。
さて、ランチをすませて元気をしっかりチャージできたところで港七福神めぐりを再開。全寺社踏破までは、まだ5つの巡拝所を回らなければなりません。果たしてここからはどんな発見が待っているでしょうか。この続きは後編にて。
「港七福神めぐり」公式サイト
https://www.minatoshichifukujin.org
https://www.minatoshichifukujin.org
【記事後編はこちら】
令和4年も開催決定! お正月恒例の「港七福神めぐり」で御利益パワーをいただこう(後編)
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/articles/448
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