自然教育園を支える仕事人と道具に注目!園内散歩がより楽しく、より面白く!

港区白金台にある国立科学博物館附属自然教育園は、東京の都市部にありながら、自然の営みに触れることのできる貴重なスポットです。約20ヘクタール(約6万坪)の敷地内では、これまでに1473種の植物、約2130種の昆虫、そして約2800種の動物が記録されているのだとか。そんな自然教育園では、企画展の「植生管理の仕事人 ~自然教育園の道具たち~」が7月9日まで開催中。植生管理とは、用途や目的に応じて自然環境を人の手によって管理すること。自然教育園がどのように植生管理されているのか、たっぷりと学んできました!

イラストやマンガで植生管理の仕事を紹介するシリーズ第2弾!

自然教育園は目黒駅から徒歩9分、白金台駅からは徒歩7分ほど。まずは、目黒通り沿いにある自然教育園の正門から、教育管理棟の中へ。「植生管理の仕事人 ~自然教育園の道具たち~」は、この教育管理棟で開催されています。

パネル展示が中心で、イラストやマンガを使ってわかりやすく植生管理の仕事を紹介。広報担当の下田彰子さんによれば、2022年春にシリーズ第1弾となる企画展「自然教育園の早春~植生管理ってなんだよ!?~」を開催しており、今回の企画展は好評を受けてのシリーズ第2弾なのだそう。

そもそも植生管理にフォーカスした企画展を開催したのには、理由がありました。自然教育園は1949年4月12日に「旧白金御料地」として、国の天然記念物及び史跡に指定されています。「自然教育園の自然は、人の手を入れることで維持されてきた自然です。天然記念物というと手をつけてはいけないという印象を持たれる方も多いのですが、自然教育園が指定された理由も、旧武蔵野の自然景観の面影がのこされており、生態系の学術的価値があるという理由でした。そうした里山的な環境を守ることの大切さを少しでも皆さんに考えていただきたいと思い、植生管理というテーマで企画展を行っています。」と下田さん。

パネル展示に加えて植生管理の道具なども展示中

シリーズ第1弾では、「自然に手を入れることの意味」を特集したのに対し、今回のシリーズ第2弾では、植生管理を行う“仕事人”と“道具”に着目。パネル展示のほかに、鎌や鋸など実際に自然教育園で働く職員の方が植生管理に使用している道具も展示されています。来園者も興味津々でパネルや道具の展示を見ているそうです。

自然教育園では、今回の展示内容をまとめた冊子も配布中。展示で学んだことを、冊子でもう一度おさらいしましょう。また、シリーズ第1弾の冊子も自然教育園の公式ホームページで読めちゃいます。案内にあるQRコードを読み込めば、スマートフォンからもアクセスが可能です。

仕事人の気分が味わえちゃう、撮影用の道具パネルも用意されています。記念に撮影しておきましょう!

植生管理についてしっかりと学んだら、いよいよ自然教育園の園内へ。植生管理を担当している職員の方は、園内で作業をしていることがほとんど。実際に植生管理を行っているところを見られるかもしれません。

いざ、東京ドーム4.2個分の園内へ!

園内は木々が生い茂り、池や湿地などもあり、まさに都会のオアシス。東京の中心に、こんなに豊かな自然が広がっているなんて……。歩いているだけで、なんだかとっても癒やされます!

園内には四季折々の木々や草花、虫や鳥たちが。6月は、植物であればノカンゾウ、イヌヌマトラノオ、動物はアゲハ、クロスジギンヤンマ、カワセミなどを観察することができます。

観察できる生き物の中には、絶滅の恐れがある「東京都レッドリスト」に掲載されている動植物も。人の手を入れて適正に植生管理しないと、植物の成長が阻害されるなどして、里山的な環境が失われ、動植物の多様性が失われてしまうのだそう。下田さんは「動植物を守りながら、同時にその姿を来園者に見せていくことが自然教育園の目的の一つです。」と話します。

ただ、実際に植生管理を行っているのは、敷地の15%ほど。下田さんは「残りの85%のエリアは、最低限の安全管理を行うだけで、手を入れていません。都市の孤立林で人が手を入れないとどのように自然が移り変わっていくか、という研究のためなんです。」と説明してくれました。

園内を巡っていると3名いる現場管理の職員さんの一人、大澤陽一郎さんがお仕事をされていました。イラストそのまま!

自然教育園は、路傍植物園・水生植物園・武蔵野植物園という3つの教材園に分かれており、3名の職員さんがそれぞれの植物園を担当しているのだそうです。武蔵野植物園では、大澤さんが増えすぎたアズマネザサやアブラススキを間引く目的で刈り取っている最中でした。何か植生管理について質問があれば、聞いてみるのもいいかもしれません。ただし、お仕事の邪魔にはならないようにしましょう!

路傍植物園では奥津励さんが小鎌を使って、マンリョウの刈り取り中。フゴと呼ばれる角型の袋の中には、刈り取られた草がたくさん入っていました。リアカーには、奥津さんの仕事道具が。あ、これもイラストで見たやつだ! 

園内をぐるりと周り、だいたい1時間ほどで教育管理棟まで戻ってきました。生き物たちの宝庫である自然教育園は、子どもたちの夏休みの自由研究などにも良さそうです。カブトムシやクワガタなども生息していますが、もちろん採るのはNG。観察するだけにしておきましょう!

確認されて6年目になるオオタカの子育ても紹介

自然教育園では企画展を年に6~7回は行っているのだとか。現在は、「植生管理の仕事人 ~自然教育園の道具たち~」と同時に、巣の上から撮影した映像や写真でオオタカの子育てを紹介する「2023 自然教育園 オオタカの子育て」も7月9日まで開催しています。オオタカは6年間にわたって自然教育園で確認されているそう。雛がめちゃくちゃかわいい!

教育管理棟にある売店では、植物の絵はがき・しおり・一筆箋をはじめ、植物に関する書籍なども販売中。他にもいろいろなアイテムが揃っているので、おみやげにいかがでしょうか?

学べて癒やされる港区白金台の自然教育園。企画展はもちろん、観察会などの学習支援活動や、ゲンジホタルの復活プロジェクトなど、さまざまな取り組みを行っています。こうした最新情報や営業時間、入園料やアクセス方法などは、公式ホームページをご確認ください。これから生き物たちが活動的になる季節。自然教育園で、全身に自然を感じてみませんか。

《国立科学博物館 附属自然教育園》
東京都港区白金台5-21-5
https://ins.kahaku.go.jp/
開園時間:
【5月1日~8月31日】 9:00~17:00(入園は16:00まで)
【9月1日~4月30日】 9:00~16:30(入園は16:00まで)
休園日:
毎週月曜日(ただし、祝日・休日の場合は開園し、火曜日が休園)
祝日の翌日(ただし、土・日の場合は開園)
年末年始(12月28日~1月4日)
※上記の休園日でも臨時に開園することがあります。詳しくは休園日情報をご覧ください。
入園料:
一般・大学生 320円
※65歳以上および高校生以下の方は無料
※障害者の方とその介護者各1名は無料

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