夏休みの自由研究にぴったり 芝浦「お肉の情報館」で食肉加工を学ぼう!

「夏休みの自由研究は何にしようか」と考える時期がやってきました。「お肉が大好き!」なら食肉加工についての自由研究がおすすめです。港区には、東京都中央卸売市場の食肉市場が運営する「お肉の情報館」があります。今回は、お肉の情報館で、どんな展示が行われているのかをご紹介します。

食肉市場・芝浦と場はどんなところ?

お肉の情報館の入口

品川駅の港南口に「食肉市場・芝浦と場」というお肉の市場があるのをご存知でしょうか? この敷地内のセンタービルに「お肉の情報館」があります。訪れてみるとわかりますが、食肉市場はかなり広くなっています。それもそのはず、ここは東京都が運営する唯一のお肉の市場です。日々の都民の食生活を豊かにするため、新鮮で安全な肉を安定的に供給する役割が担われています。

食肉市場・芝浦と場では、牛と豚の加工が行われ、私達が食べるお肉のほかに革の加工も行われています。牛に関しては年間8万6000頭が加工され、全国の10%程度が集まっているほど。特に食肉市場・芝浦と場では、上位に格付けされる肉の取り扱いが多く、A5・A4の牛肉が約5分の2、極上・上の豚肉が10 分の3を占めています。そのため、芝浦は「お肉の殿堂」「芝浦ブランド」と称されるほどです。

お肉の情報館では食肉市場のことを知るため、【①と場の業務・役割の紹介 ②肉の生産・流通の紹介 ③食肉市場・と場に対する偏見や差別の解消の展示】が行われています。

と場の業務・役割を確認しよう!

●芝浦と場・東京食肉市場の歩み
入口付近のゾーンでは、東京にはじめてと場ができてから現在に至るまでの歴史が年表で紹介されています。その歴史は古く、東京にはじめてと場ができたのは江戸時代のこと。1867(慶応3)年に東京の荏原郡白金町(現在の港区白金付近)に開設されました。明治時代になると1869(明治2)年に築地に公営のと場が開かれ、各地に私営と場も開かれるようになります。芝浦に東京市営のと場が建設されたのは、1936(大正12)年のこと。それにともなって東京に6つあったと場は、昭和15年までに順次廃止されています。そして、1966(昭和41)年に芝浦と場の所管が中央卸売市場になり、現在のように開場しました。

年表の前には、芝浦と場・食肉市場全体の模型があり、施設の全容を確認することができます。

●生産《肥育から出荷まで》
牛や豚が牧場で育てられて、出荷され、消費者に届くまでの工程がパネルで展示されています。この展示ではおいしいお肉を作るために品種改良や飼料などにさまざまな工夫をして牛や豚を育てていることがわかります。パネルの下には、実際の飼料も展示されています。どんなエサを食べているのか確認してみましょう。

●芝浦と場・食肉市場の移り変わり(写真展示)
芝浦と場・食肉市場が開場した当時やその移り変わりが写真展示されています。現在の港南口にはインターシティや飲食店、マンションなどもあって活気がありますが、開場当時は、芝浦と場・食肉市場と下水処理場がある工場街のような街並みでした。

肉の生産と流通のしくみを確認しよう!

●と畜解体作業の流れ
芝浦と場では、毎日牛が430頭、豚が1400頭、と畜解体されています。ここでは牛と豚のと畜解体作業の工程をパネル展示でみることができます。と畜解体作業は、近代的な施設のなかで、衛生に配慮されながら行われていることがわかります。パネル展示の下には、と畜解体作業で使用されたナイフなどの道具もケースのなかで展示され、現場の一部を知ることができます。

●市場取引の流れ
芝浦と場でと畜解体されて枝肉になった牛や豚は、食肉市場でせりにかけられます。せりに参加しているのは、売り手である卸売業者と、買い手である仲卸業者や売買参加者です。売買金額は、と畜使用量や一定の卸売手数料などを差し引いて、生産者に送金されるしくみ。こうした市場取引の流れがわかるようになっています。

●食肉の衛生検査
食肉市場で売買される牛や豚は一頭ごとに病気の有無が確認されています。検査に合格した食肉だけが市場に流通するしくみとなっていることがわかります。

実際に枝肉や肉の部位などを模型で確認しよう!

●生体牛と豚・枝肉の模型と牛の毛皮
牛や豚、枝肉などの実際の大きさがわかる模型の展示は、お肉の情報館の目玉の1つです。ここには、800キロの生体牛や約250キロの牛の枝肉(半身)、約38キロの豚の枝肉(半身)の模型が展示されています。牛の毛皮は本物で、実際にふれることができます。

●枝肉の格付け、肉部位、内蔵部位

枝肉が適正な価格で生産、流通するためには「格付け」があります。ここではその格付についての説明があります。また、肉や内臓の部位がどうなっているのかが展示され、実物大の牛や豚の内蔵がレプリカも置いてあります。実際に手にとって大きさや重さを確認してみましょう。

●革ができるまで
芝浦と場・食肉市場では、生肉だけでなく、革も扱っています。ここでは革ができるまでの作業工程と実際の革の展示を見ることができます。

食肉市場・と場に対する偏見や差別を知ろう!

●食肉の歴史と人権
縄文時代から始まった食肉の歴史が展示され、それとともにあった職業差別について知ることができます。かつて、食肉や革を加工する仕事に就く人は、差別の対象となっていた時代がありました。ここでは、そうした人達に寄せられた手紙やインターネットの心無い投稿が展示されています。また、港区や品川区の小中学生による学習の感想や人権ポスターの展示もあります。この機会に差別や偏見について、見て考えてみましょう。

お肉の情報館を訪れてみよう!

夏休み臨時開館日にもらえる配布資料と記念品(一例)

お肉の情報館は土日祝、年末年始をのぞいた平日は毎日、無料で見学ができます。場所は品川駅港南口から歩いて5分とアクセスしやすくなっています。夏休みには特別に臨時開館日がもうけられ、イベントが開催されます。夏休みの自由研究にぜひ訪れてみてください。

お肉の情報館
住所:東京都港区港南2-7-19 東京都中央卸売市場食肉市場 センタービル6F
電話番号:03-5479-0651
開館時間:10〜18時
休館日:土日祝、年末年始

夏休み臨時開館日
令和5年7月22日(土)10〜18時
令和5年8月19日(土)10〜18時

〈イベントの内容〉
・資料の配布:自由研究に役立つ牛や豚の資料が配布されます
・ビデオの上映:お肉の生産から食卓に届くまでの流れがわかるビデオが上映されます
・展示物についての説明:お肉はどうやってできるのか、など食卓に肉が届くまでや肉のおいしさなどについての職員の方に質問できます
・記念品:牛や豚の消しゴム他

*お肉の情報館は夏休み臨時開館日も含めて、入館無料、予約不要です。

関連記事

浜松町の未来が輝く!世界貿易センタービルディングの建替えプロジェクトに迫る

2025年1月14日

かつては大名屋敷が立ち並び、増上寺の門前町としても賑わった浜松町。1947年(昭和22年)には港区に所属して芝浜松町となり、1972年(昭和47年)から現在の町名になりました。そして、1970年(昭和45年)には後に浜松町のシンボルとなる世界貿易センタービルディングが竣工。当時、東洋一の高さを誇った超高層ビルは、浜松町駅に直結した総合ビルとして、半世紀にわたり親しまれてきました。今、その世界貿易センタービルディングが生まれ変わろうとしています。2021年に先行開業した南館に続く形で、現在は本館とターミナルの建替えプロジェクトが進行中。2027 年の一部開業を目指して、工事が進められています。新...

昼・夕・夜の都心を眼下に望む!東京タワーからの絶景に感激

2025年1月21日

雄大なパノラマが圧巻の昼、空と街が調和する夕方、宝石箱のように煌めく夜と、東京タワーは1日を通して、多様な東京の魅力を伝えています。高さ150メートルのメインデッキと、250メートルのトップデッキから望む東京の街並みは、東京タワーを訪れた多くの人の心に深く刻まれるのではないでしょうか。今回は、フォトスポットとしても人気が高い東京タワーからの景色に注目! タイムラプス動画で東京タワーの1日を追うと共に、東京タワーアテンダントユニットGlow of Tokyoのボーカルを務めるOlga(オリガ)さんに、おすすめの景色やツアーなどを紹介してもらいました。 アテンダントによる音楽ユニット ――東京タワ...

港区を走る人力車!「東京みなと人力車 田中屋」の魅力

2024年12月18日

明治時代や大正時代に移動手段として活躍した人力車。今でも俥夫(しゃふ)が人を乗せた二輪車を引く姿を全国各地の観光地などで見ることができます。そんな人力車に港区でも乗れることはご存知でしょうか? 2024年10月から港区で本格的に営業をスタートした「東京みなと人力車 田中屋」の代表を務める田中宏典さんは、日本の伝統と文化を次の世代に伝えていきたいという思いで、今日も人力車を引いています。今回は俥夫として奮闘する田中さんと、定番のコースを紹介。港区内を巡る人力車の魅力をお伝えします。 増上寺を出発して東京タワーの見える路地をゆく スタート地点は、港区を代表する寺院の一つである増上寺。田中屋では増上...

南青山にオープン!「化粧文化ギャラリー」で知る化粧の歴史と面白さ

2024年11月14日

化粧品メーカーの株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(当時はポーラ化粧品本舗)は、化粧を学術的に研究することを目的として、1976年5月15日に「ポーラ文化研究所」を設立。以来、現在まで化粧文化に関する資料の収集や保存、調査研究、公開普及などを継続して行ってきました。そして、収集した資料や積み重ねてきた知見を紹介するための施設が港区南青山にオープン。2024年5月15日にポーラ文化研究所の新たな拠点として誕生した「化粧文化ギャラリー」では、展示や書籍で化粧文化を伝えると共に、ギャラリートークやワークショップなどのプログラムも実施しています。今回は、化粧文化ギャラリーのマネージャーを務める西...