近代的なアミューズメント施設が立ち並ぶお台場に、時を超えた新しい観光スポットが誕生しました。2025年4月25日に、デックス東京ビーチの4階にオープンした「お台場レトロミュージアム」は、“昭和レトロ”がテーマの博物館。まるで映画のセットのような昭和の町並みを自由に歩きながら、懐かしの小物や生活道具を「観て」「撮って」「遊ぶ」ことができちゃいます。昔を知る人には懐かしさを、若い世代には新鮮な驚きを与えてくれる「お台場レトロミュージアム」。そんな魅力あふれる体験型ミュージアムの全貌をたっぷりと紹介します。
あの頃の憧れがここに!レトロカー・家電・レコードの世界
新交通ゆりかもめ・お台場海浜公園駅より徒歩2分で、都市型ショッピングモールのデックス東京ビーチに到着。4階には、昭和30年代の日本の下町を再現した台場一丁目商店街があり、その一角が今回紹介する「お台場レトロミュージアム」です。入場料は大人1,300円ほか、学生料金や割引がそれぞれ設定されています。入口からすでにレトロ感が漂っています。
当時の軽自動車としては珍しい4ドアを採用したマツダのキャロル
さっそくミュージアムの中に入ると、まずは可愛らしいフォルムの自動車がお出迎え。昭和32年(1962年)に発売されたマツダのキャロルは、欧州車を意識した高級感のあるデザインと、軽自動車とは思えない広い室内空間で、ファミリー層を中心に人気を博した1台です。家族を乗せて走った昭和のお父さんたちの思い出の車であり、初めて買った車として記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
今の家電量販店とは異なり、地域密着型の店が多かった
マツダのキャロルが停めてあるガレージのすぐ横には、電気店が。ナショナルのカラーテレビやソニーのカセットデンスケなど、今ではもうお目にかかれない、レトロな電化製品が並んでいます。
五感に訴える街角の風景が人々の日常を豊かに彩っていた
この一角は、映画館やレコード店などが軒を連ねていました。昭和の映画館は、今とは異なり、2本立てや3本立ての同時上映も当たり前でした。
店内には当時流行していた歌謡曲や洋楽ポップスが流れている
レコード店には、伝説的な歌姫から唯一無二のシンガーソングライターまで、往年のスターたちの名盤がズラリ。スタッフの方に声をかければ、好きなレコードを聴くこともできるのだとか。
昭和の交番は、商店街や住宅街の一角にひっそりと佇んでいた
レコード店の横には、昔ながらの石造りの交番も。「湾岸通り派出所」と名付けられた交番には、シンボルの赤色灯が煌々と灯っていました。
煌びやかなネオンが誘う!懐かしの娯楽スポット巡り
佐藤製薬のマスコットであるオレンジ色の象・サトちゃんは、昭和を象徴するキャラクター
たばこ屋の横で営業中の「パチンコラッキー」が大人たちをいざないます。目を引くのは、大きなネオンの看板と新装開店の花輪など。昭和の時代、パチンコ店は繁華街のランドマークでもありました。
「サーカスⅢ」や「ザ・祭りII」などの名機と呼ばれたパチンコ台の試遊が可能
高度経済成長期からバブル期にかけて、気軽に立ち寄れる娯楽として、パチンコ店は大人気でした。「パチンコラッキー」では当時の羽根物や権利物といった機種を実際に遊ぶことができます。もちろん当たっても景品などはもらえませんので、あしからず。
パチンコ店の斜向かいは、ラーメンの屋台やたばこの自動販売機、木製のベンチなどが置かれた小休憩エリアがありました。ホーロー看板も趣があります。
キャバレーの楽屋を模したスペースでは、特攻服やセーラー服、アイドル衣装などが用意されており、コスプレを楽しむこともできちゃいます。
カラオケ機器の普及もあり、昭和40年代以降は歌う場所としても定着したスナック
キャバレーの隣ではスナックが営業中。ミラーボールが雰囲気を盛り上げます。スナックは、気さくなママや常連とたわいない会話を交わしていれば、すぐに打ち解けることができる、気軽に立ち寄れる庶民の社交場として人気でした。
住宅に風呂がない家庭も多かった時代、銭湯は生活に欠かせない場所だった
壁に富士山が描かれた昔ながらの銭湯には、今では見なくなった頭に被るタイプのヘアドライヤーやアンティークなマッサージチェアなどが置かれていました。
わんぱく少年少女たちの楽園へ!夢と遊び心がよみがえる
町の中を一周して、ガレージ付近に戻ってきました。樹木や看板なども凝っており、本当に昭和の町中にいる気分になります。ミュージアムの展示物は、実際に使われていた昔のアイテムをそのまま展示している他にも、わざわざ新しい物を汚して、昭和風に見せている看板や生活道具などもあるのだとか。レトロな町並みが夕暮れの光に照らされる様子もまた、ノスタルジックな雰囲気を高めてくれます。
プラモデルやソフトビニール製の人形など、昭和の子どもたちが目を輝かせたであろうアイテムが並ぶ
ガレージの向かいには、懐かしのホビーが並ぶおもちゃ屋さんがありました。店前に置かれた新幹線ゲームは、10円玉を新幹線に見立て、レバーを弾いてスタート地点からゴールまで穴に落とさずに運ぶゲームです。レバーを弾く力加減が攻略のカギでした。
昭和時代の子ども部屋を再現したエリアでは、童心に帰って、畳の部屋でゆっくりとくつろぐことができます。
中央の週刊少年ジャンプNo.48は昭和49年に発行された創刊300号の記念号
本棚には、当時の少年漫画雑誌などもありました。寝転がって読みふけりたい衝動に駆られます。
銭湯と子ども部屋の間には、細長い路地があり、昭和の町の雰囲気を演出。“路地マニア”にはたまらない光景です!
子ども部屋の向かいには、昭和の家庭の台所が再現。食洗機やフードプロセッサーなどはなく、洗い物や調理は手作業が中心です。スペースも今よりずっと狭く、家族4~5人分の食器や鍋を収納するには工夫が必要でした。
昭和中期は、ちゃぶ台から椅子とテーブルの洋風スタイルに切り替わった転換期
戦後の住宅事情と生活様式の変化から、昭和には調理と食事をする空間をひとつにまとめたダイニングキッチンが普及。作り置きの料理に被せる網状のカバーは「蝿帳(はいちょう)」と呼ばれ、料理を虫や埃から守るためのものでした。
ミュージアム内では赤やピンクの公衆電話なども設置されている
ダイニングキッチンの一角に置かれた黒電話は、円形のダイヤル式の固定電話です。数字の穴に指を入れて回し、手を放して戻すという作業を繰り返しながら、電話番号を入力していました。
遊んだり、叱られたりと、小学校は思い出が刻まれる場所の一つ
「お台場レトロミュージアム」には、なんと小学校も。理科準備室や廊下やトイレ、そして、子どもたちの学びの場である教室にも入ることができます。
昭和の教室にエアコンなどはなく、夏は窓からの自然の風で涼んでいた
子ども用の椅子や机に懐かしさを覚える人も多いはず。教室前方には大きな黒板が。黒板消しやチョークの粉が教室に漂っていたのを思い出します。
昭和30~40年代までは木造校舎が多く、廊下も板張りだった
廊下には、小学生たちが描いた絵や習字も展示されていました。突き当りにはトイレもあります。
昭和の宝探し!懐かしのアイテムやレトロなお土産を探そう
昭和45年(1970年)頃まで製造されていたという丸型ポスト
とにかくディテールにこだわった「お台場レトロミュージアム」。町のいたるところにある昭和なアイテムに、誰もがときめいてしまいます。一人で時間を忘れてじっくりと懐かしい思い出に浸るもよし、家族や友人とワイワイ盛り上がるもよし、それぞれの楽しみ方で満喫できます。
ミュージアムの横には、懐かしのレトログッズやお土産などが購入できる「ファンシーショップ・レトロチカ」も併設。昭和時代を過ごした大人に人気なのは、ファミコンのカセットの箱をイメージした加熱式タバコ用ハードケース。修学旅行生にはキーホルダーなどが人気なのだそうです。
友達同士でおそろいのヘアクリップやキーホルダーを購入していくグループも多いのだとか
ホテルのルームキー風のキーホルダーなどもお土産にぴったり。昭和のアイテムには、その時代ならではの温かみや独特の味わいがあります。
昭和の時代は喫茶店などにも置いてあったテーブル型ゲーム筐体。実際に遊ぶことができる
直撃世代はもちろん、若い世代も、これまで触れることのなかった文化や雰囲気を新鮮な驚きと共に楽しめる「お台場レトロミュージアム」は、新しい時代の体験型エンターテイメントでした。館内はどこでも自由に撮影がOK。SNSでは「#お台場レトロミュージアム」をつけた投稿が賑わっており、レトロでユニークな写真が人気を集めています。土日や連休は多くの人で賑わうため、ゆっくりと楽しみたい人や、SNS用の写真をじっくり撮りたいという人は、比較的来場者が少ない平日の夕方がおすすめです。お台場の新しいスポットとして誕生した「お台場レトロミュージアム」で、時代を超えた特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
《お台場レトロミュージアム》
所在地:東京都港区台場1-6-1 デックス東京ビーチ シーサイドモール4F
営業時間:平日11:00~20:00、土日祝11:00~21:00
定休日:定休日共にデックス東京ビーチに準ずる。
入場料:大人1,300円、高校生1,000円、中学生800円、4歳~小学生500円ほか
※その他、詳しくは下記の公式サイトをご確認ください。
https://odaiba-retromuseum.tokyo.jp/