SFアニメ「攻殻機動隊」の大規模展が虎ノ門ヒルズで開催!世界的クリエイターの作品世界に潜る

虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」で開催中の『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell(ゴーストアンドザシェル)』は、SF作品の金字塔として知られる『攻殻機動隊』の全アニメシリーズを網羅した展覧会です。1989年から漫画家の士郎正宗氏によって描かれた『攻殻機動隊』は、数多のクリエイターたちの手で映像作品となり、世界へと羽ばたいていきました。今回は、歴代のアニメ制作を担ってきたProduction I.Gと、待望の新作アニメを手がけるサイエンスSARUの全面協力によって実現した、シリーズ史上類を見ない規模の展覧会をレポート。港区の虎ノ門ヒルズから“攻殻”の魅力をお届けします。

端末を操作しながら情報の海へダイブする

地上49階建てのステーションタワー

展覧会の会場となるのは、2023年に開業した「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の最上部に位置する「TOKYO NODE」。東京メトロ日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅に直結したガラス張りのビルは、近未来を舞台にした『攻殻機動隊』の世界観ともマッチしています。

アニメ界のトップクリエイターたちが携わってきた『攻殻機動隊』

『攻殻機動隊』のアニメ作品は、まず士郎正宗氏の原作漫画をもとに、押井守監督による劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が1995年に公開。緻密な作画や深い哲学は、多くの人々を虜にしました。その後も、続編となる『イノセンス』、神山健治監督による『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)』シリーズ、さらには黄瀬和哉監督の『攻殻機動隊 ARISE』、そして、神山監督と荒牧伸志監督が共同監督を務めたフル3DCGアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』と続いていきます。

アニメの名シーンが次々と映し出される

エレベーターで45階へと昇り、さっそく会場の中へ。「TOKYO NODE」には、3つの特徴的なギャラリーがありますが、最初は「GALLERY A」から。一歩足を踏み入れると、そこにはドーム型の巨大な空間が広がっていました。「NODE(思考の結節点)」と名付けられたこの空間は、「“攻殻”を愛する人々が集う場所」と定義されており、壁には作品の名シーンなどが映し出され、まるで情報の奔流の中に立っているかのよう。

端末を操作して、好きなシーンにアクセス

「巨大電脳ネットワークビジュアライザー “Nerve Net”」は、来場者の「思考」や「検索」そのものが展示の一部となるユニークなインスタレーション。会場内に設置された8台の専用端末を操作しながら、これまでの全アニメシリーズの全シーンから自分の好きな場面を見つけ出して、巨大な画面に呼び出すことができます。

劇中の「有線接続」にインスパイアを受けたアート作品

ドームの中央に鎮座するのは、本展の象徴ともいえる「“知の遺跡”World Tree: Ghost and the Shell」。天井高15メートルの闇から、無数のケーブルが降り注ぎ、まるで神経の束のようにモニタへとつながれ、巨大な電脳ネットが起動する様子を表現しています。

各界の攻殻ファンが会場に集結する

「GALLERY A」では、会期中に様々なイベントを開催予定。作品から影響を受けたクリエイターや研究者によるトークショー、攻殻の世界観を拡張させるようなDJライブなど、ファン同士が緩やかにつながるコミュニティの場としても機能します。

歴代作品のポスターたち

「GALLERY A」を抜けて、次なるエリア「GALLERY B」へと続く通路には、これまでの作品のポスターが並び、その変遷を辿ることができます。また、「PATH A “STORY”」と題された展示では、押井守、神山健治、黄瀬和哉、荒牧伸志という『攻殻機動隊』を形作ってきた4人の監督への撮り下ろしインタビュー映像が初公開されています。

約1,600点の資料から創造の熱量を掘り起こす

広々とした展示スペース

約1,000平米という広大な空間の「GALLERY B」は、本展の中核をなすエリア。会場内には、原画、設定資料、キャラクターデザイン、絵コンテなど、これまでの全シリーズから厳選された1,600点を超える制作資料が作品ごとに展示されています。

思わず足を止めて見入ってしまう資料ばかり

資料の多くが未公開を含む貴重なものばかり。今回の展覧会のために改めて全資料を見直し、再構成したのだとか。

設定資料には押井監督によるメモ書きもちらほら

展示は、1995年公開の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』からスタート。緻密に描き込まれた鉛筆のライン、画面の隅に走り書きされた演出上のメモ、色の指定など、そこには、デジタル化以前の作り手たちの息遣いが濃厚に漂っていました。

あの名場面がよみがえる

展示は、映像美を極めた『イノセンス』、社会のシステムを鋭く描いた『S.A.C.』シリーズ、新たな解釈を提示した『ARISE』、そして3DCG表現に挑んだ『SAC_2045』へと続きます。

新旧の『攻殻機動隊』に触れることができる

作品ごとにスタイルが変化する一方で、決して変わることのない「攻殻らしさ」という芯の部分は健在。これらを横断的に比較しながら鑑賞できるのは、この規模の展覧会ならではです。

新作の資料も公開中

展示の最後を締めくくるのは、2026年放送予定のサイエンスSARUによる新作テレビアニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の最新資料。これまで築き上げられてきた“攻殻”の歴史が、どのように次世代へとバトンを渡されるのか。その予兆を、世界で最も早く目撃することができます。

体験型展示で味わうリアルとフィクションの曖昧な境界

「DIG(掘り起こす)」は、「GALLERY B」のテーマでもある

「GALLERY B」では、資料の展示以外にも様々な仕掛けがありました。一つは「Digital DIG」。会場中央の端末を操作すると、アニメーターのデスクトップにあるフォルダを覗き見るように、膨大なデジタル資料を自由にブラウジングできます。

公安6課の中村部長のカットを発見

もう一つは、体験型の「Analog DIG(有料)」。アニメ制作現場で実際に使われる「カット袋」を来場者が掘り起こし、その中の複製原画を持ち帰ることができるというもの。作品のかけらを自らの手で「発掘」する感覚は、ファンにはたまらない体験になるはずです。

取材班の顔もハッキングされました

本展では、劇中の技術を擬似体験できるコーナーも。「笑い男になる鏡 “Laughing Man Mirror”」は、特定のスペースに入ると、自分の顔が瞬時に「笑い男」のマークに置き換わるというもの。笑い男とは、『S.A.C.』に登場した高度な電脳ハッキング能力を持つハッカー。笑い男が監視カメラの映像などをリアルタイムでハッキングし、人物の顔を「笑い男」のマークで上書き表示するあのシーンを、最新の顔認識技術で再現しています。

『攻殻機動隊』といえば「熱光学迷彩」

ファンなら誰もが一度は憧れる「熱光学迷彩」の体験も。AI監視社会に対するアンチテーゼとしてカモフラージュ技術を開発するテキスタイルレーベル「UNLABELED × NX7」とのコラボレーションが実現。特定パターンの柄のTシャツを着用してカメラの前に立つと、画像認識AIが「人間」として認識できなくなるという、現代版の熱光学迷彩を体験することができます。

「フチコマ」(中央)の着ぐるみも登場

会場には、シリーズのマスコット的存在である「タチコマ」や「ロジコマ」の精巧なフィギュアも展示。重厚な展示の中に可愛らしいアクセントを添えてくれています。

アーティストたちとのコラボやARで感じる作品世界

(C)Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA (C)Shirow Masamune / KODANSHA

本展のもう一つの大きな柱が、現代アーティストとのコラボレーション。世界中に衝撃を与えてきた攻殻機動隊は、多くのアート作品にも影響を与えてきました。世界的な現代美術家・空山基氏による新作彫像「Sexy Robot_The Ghost in the Shell type 1」は、『攻殻機動隊』の主人公である草薙素子をモデルに制作されました。

アーティストの草野絵美氏によるAIアート作品「EGO in the Shell」

その他にも、現実世界のテクノロジーの歴史と作品内の出来事を対比させた年表や、新進気鋭のアーティストたちによるトリビュート作品など、多角的な視点から“攻殻”の世界を掘り下げます。

会場には200台ものARグラスが常備

より深く作品の世界に浸るには、事前予約制の有料体験コンテンツ「電脳VISION」もおすすめ。これは最新のARグラス(XREAL/STYLY協力)を装着して会場を巡るというもので、ARグラスを装着すると視界の中にタチコマが現れ、電脳通信を通じて各展示の解説をしてくれます。現実の原画展示の上にデジタル情報が重なり、タチコマたちと会話しながら歩く体験は、まさに「電脳化」そのもの。

圧巻の100種超!オリジナルアイテムが手に入る

かつてない点数のグッズが販売

展示を楽しんだ後は、「GALLERY C」のショップエリアへ。ここでは100種以上の展覧会オリジナルグッズに加え、80種を超えるコラボアイテムがずらり。WACKO MARIAやBRAIN DEAD、HATRAといった人気ブランドとのコラボアパレルをはじめ、空山基氏や米山舞氏、河村康輔氏といったクリエイターによる限定アイテムなどが並びます。

受注販売で全世界50体限定

ショップの目玉として君臨する『S.A.C.』版・草薙素子の1/1スケールスタチュー(立体像)。凛とした表情で佇む彼女の姿は、今にも動き出しそうなリアリティです。

ショップに置かれたAR体験ができるテクノ屏風も必見

1989年の連載開始から37年。物語の中で草薙素子の所属する「公安9課」が設立される2029年まで、あとわずか3年に迫りました。かつて遠い未来の物語だと思っていた世界が、驚くほどの速さで現実になろうとしています。そんな今だからこそ、『攻殻機動隊』という作品に触れておくべきなのかもしれません。本展は、『攻殻機動隊』の歩みを辿りながら、制作資料という名の情報の海にダイブして、作品のテーマや本質に迫る試みと言えます。4月5日までの開催期間中、ぜひ一度、虎ノ門ヒルズの「TOKYO NODE」へ足を運んで、広大な作品世界に潜ってみてはいかがでしょうか。
《攻殻機動隊展 Ghost and the Shell》
会期:2026年1月30日(金)~2026年4月5日(日)
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
※住所:東京都港区虎ノ門2-6-2
※その他、詳しくは下記の公式サイトをご確認ください。
https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/
(C)士郎正宗・講談社/攻殻機動隊展Ghost and the Shell製作委員会

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