がんばっている観光地を応援! 感染症対策が行われている東京・港区の観光施設特集

まだ完全な収束が見えない新型コロナウイルス。この感染症が観光業に与えた影響の大きさはもはや言うまでもなく、東京・港区の観光地の中にも営業自粛を余儀なくされたところが少なくありません。そして、新しい生活様式のもとで通常の生活が戻りつつある今、自粛していた観光地も様々な感染症対策を講じながら徐々に営業を再開し始めています。そこで今月は4か所の取り組みをピックアップしながら、東京・港区でがんばっている観光地の応援企画をお届けします。自粛ムードが続く中、きっと多くの方が束の間のリフレッシュを求めているはず。ぜひ、安・近・短、そして安心できるレジャーの参考にしてください。
(※掲載情報は7月16日時点の情報です。新型コロナウイルスの影響により、時間・内容等が変わっている可能性があります。お出かけの際は各施設の公式ホームページなどで最新の情報をご確認ください)

東京タワー/「オープンエア外階段ウォーク」を毎日開放

4月8日から展望台含む全館を臨時休館していた「東京タワー」ですが、5月28日から段階的に営業を再開し、現在は夜間の営業時間を1時間短縮して営業しています(7月17日現在)。

東京を代表する観光地である東京タワーでは徹底した感染拡大防止対策を掲げ、施設の感染症対策と来館者へのお願いをホームページに提示。施設側の対策として、毎朝の検温やマスクの着用などアテンダントやスタッフの健康管理の徹底、チケットカウンターとインフォメーションカウンターの飛沫防止対策用シートの設置、全館にわたる抗菌コーティングの実施、ソーシャルディスタンスマークの設置などを行っています。その一方で来館者にはマスクの着用を促し、入館前の検温を実施。また、エレベーターと展望台の定員数を減らすなど、みんなが安心して観光できる取り組みを行っています。

また、こうした状況下ならでは特別企画として、通常は土曜・日曜・祝日限定の「オープンエア外階段ウォーク」を毎日開放。タワーに取り付けられた約600段の階段を使い、150mのメインデッキまで自分の足で登ることができます。

地上から見上げる展望台までの距離から想像すると、さぞかし長い道のりに思えますが、ゴールまでは約12分ほど。途中にクイズがあったり、段々上に向かっていく景色の変化をエレベーターより実感できるので、疲れを感じずに登り切れるはず。自粛ライフで運動不足の体にはちょうどいいフィットネスになるでしょう。

そのほか、メインデッキ2階のタワー大神宮には、疫病避けとして一躍有名になったあの妖怪と東京タワーがまさかの融合を果たした「タワーアマビエ」の絵馬が登場。多彩なイベントで“新しい東京タワー”が体験できます。

なお、毎年恒例の「天の川イルミネーション」を今年も実施。2万を超える電球が織りなす七色の光の煌めき。夏に味わう天空のイルミネーションはロマンチックムード満点です。

構内に専用駐車場があり、往来の人との接触を避けながら自家用車で訪れられるのも安心できるポイントのひとつ。既に登ったことがある人も、この機会に改めて展望台の景色を楽しみに出かけてみてはいかがでしょう。

船清/屋形船で楽しむ船上の絶景とアツアツ天ぷら

約3ヶ月間の休業を経て、5月28日に営業を再開した屋形船の「船清」。屋形船は東京でも隅田川エリアならではの粋な遊び。隅田川や東京湾に船が浮かぶ風景は江戸時代の風情を今に伝えてくれます。

1949年(昭和24年)に創業した船清では、20名から120名まで大きさの異なる屋形船を7艘有し、20名以上の場合は貸切船で、2名以上の場合は不定期開催の乗合船で、船上からの景色を楽しみながら、おいしい料理が堪能できます。

営業再開後、東京都が発行する「感染防止徹底ステッカー」を取得して感染症対策を徹底。乗船前の手指の消毒のほか、ソーシャルディスタンスを考慮した船内のレイアウトや入念な換気を徹底し、テーブルにも飛沫の飛散を防ぐ仕組みが施されています。

基本ルートは、約2時間半の乗船。北品川の船着場を出た船はお台場付近にしばらく停泊した後、レインボーブリッジの下を通過し、竹芝桟橋や東京タワーを眺めながら隅田川へ。さらに勝どき橋や佃大橋といった個性的な橋をくぐりながら近代的な建築群を仰ぎ見て、永代橋の手前で東京スカイツリーを望んだところで折り返します。

木造による船室は天井が高く、掘りごたつやテーブル席で足をゆったり伸ばせる、ゆとりある空間。トイレや冷暖房も完備されていて快適です。展望デッキもあり、水上から360度見晴らす景色もこれまた格別。

一方で、船上で揚げたての天ぷらを中心とした料理は、季節の食材をふんだんに取り入れた和食のコース。こちらも接触や取り分けをなるべく避け、感染防止を講じた形で提供されています。

貸切船の場合は、昼は12時出発から15時30分帰着の間(日曜、祝日は12時出発から15時帰着の間)で、夜は17時出発から21時30分帰着の間(同、16時30分出発から20時30分帰着の間)で希望に合わせて対応。乗合船(要予約)は特定日の夕方に出航しているので、詳しくは公式ホームページの乗り合いカレンダーを確認してみてください。

増上寺/徳川家菩提寺にまつわる宝物の数々を鑑賞

徳川将軍家の菩提寺であり、広大な敷地の中に国の重要文化財である三解脱門をはじめ、大殿、徳川将軍家墓所など見どころの多い「増上寺」。7月の地蔵尊盆踊り大会や9月の増上寺薪能が開催中止になるなど、恒例行事の中止や祝勝開催になるなど、増上寺にも新型コロナウイルスの影響が出ています。

そうした中、現在は一部施設の時間を短縮した上で、清掃、換気、アルコール消毒の設置など、様々な感染防止策を講じて参拝客を迎えています。3月2日から臨時閉館していた増上寺宝物展示室も6月1日に営業を再開。リスク対策が図られた館内で貴重な展示物を見ることができます。

2016年(平成27年)にこの宝物館では、増上寺の歴史や文化にまつわる企画展が不定期開催されているほか、台徳院殿霊廟模型と狩野一信の筆による五百羅漢図の一部が常設展示されています。

台徳院殿霊廟は、二代将軍・秀忠公の御霊屋(先祖の霊を祀る建物)として、1632年(寛延6年)に三代将軍・家光公によって増上寺の境内南側に造営された建築群のこと。国宝にも指定される貴重な霊廟建築でしたが、第二次大戦の戦火により焼失してしまいました。台徳院殿霊廟模型は、この台徳院殿霊廟の中心部分を10分の1スケールで再現したもので、1910年(明治43年)のロンドン万博時に東京市から英国政府に贈呈されたもの。王室コレクションになっていたところを英国王室から長期貸与により、こちらに展示されています。

一方で、五百羅漢図は100幅あるうちの10幅程度を期間ごと入れ替えて展示。少しでも早く平静が戻ることを祈願しながら、徳川将軍家の栄華を伝える貴重な宝物を鑑賞しに出かけてみてはいかがでしょう。

東京ベイ・クルージングレストラン シンフォニー/本格料理も楽しめる豪華クルーズ

日の出埠頭から出航している「東京ベイ・クルージングレストラン シンフォニー」。春以降、一部のクルーズを減便していたシンフォニーですが、7月18日から全便の運航が再開されます。

シンフォニーではランチクルーズ(130分)、アフタヌーンクルーズ(50分)、サンセットクルーズ(120分)、ディナークルーズ(150分)と、乗船時間の異なる4つのクルーズを運航。予算や目的に合ったクルーズを選べることが魅力のひとつです。このうち最長時間となるディナークルーズは、レインボーブリッジをくぐりながらお台場の景色を眺め、東京湾上から羽田空港を見ながらハート型を描く航路によるロマンチックなコースです。

定員600名の「モデルナ」と同450名の「クラシカ」という2つのクルーズ船は、いずれも気品に満ちた空間。船内では料理の提供もあり、フランス料理ややイタリア料理の本格コースのほか、船上で握る寿司懐石など多彩なバラエティの中からお好みのプランが選べます。

※写真はイメージです。

船内の消毒や乗船カウンター等の飛沫飛散防止策、ソーシャルディスタンスの徹底、時間差による乗船案内など、感染防止に向けた取り組みを実施。ご担当者の方も「美味しい食事と素晴らしい景色、大切な人と過ごすかけがえのない時間がシンフォニーにはあります。行政のガイドラインに沿って感染防止対策を柔軟に行っておりますので皆様のご乗船を心よりお待ちいたしております」と話し、万全の体勢でお客様を迎えています。

まだ巣籠もりの多い日々が続きますが、束の間の休息に豪華クルーズ船でショートトリップ。肌を撫でる東京湾の風が、気分をリフレッシュさせてくれるはず!

関連記事

南青山にオープン!「化粧文化ギャラリー」で知る化粧の歴史と面白さ

2024年11月14日

化粧品メーカーの株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(当時はポーラ化粧品本舗)は、化粧を学術的に研究することを目的として、1976年5月15日に「ポーラ文化研究所」を設立。以来、現在まで化粧文化に関する資料の収集や保存、調査研究、公開普及などを継続して行ってきました。そして、収集した資料や積み重ねてきた知見を紹介するための施設が港区南青山にオープン。2024年5月15日にポーラ文化研究所の新たな拠点として誕生した「化粧文化ギャラリー」では、展示や書籍で化粧文化を伝えると共に、ギャラリートークやワークショップなどのプログラムも実施しています。今回は、化粧文化ギャラリーのマネージャーを務める西...

港区を走る人力車!「東京みなと人力車 田中屋」の魅力

2024年12月18日

明治時代や大正時代に移動手段として活躍した人力車。今でも俥夫(しゃふ)が人を乗せた二輪車を引く姿を全国各地の観光地などで見ることができます。そんな人力車に港区でも乗れることはご存知でしょうか? 2024年10月から港区で本格的に営業をスタートした「東京みなと人力車 田中屋」の代表を務める田中宏典さんは、日本の伝統と文化を次の世代に伝えていきたいという思いで、今日も人力車を引いています。今回は俥夫として奮闘する田中さんと、定番のコースを紹介。港区内を巡る人力車の魅力をお伝えします。 増上寺を出発して東京タワーの見える路地をゆく スタート地点は、港区を代表する寺院の一つである増上寺。田中屋では増上...

開業60周年はイベント盛りだくさん!港区と羽田空港をつなぐ東京モノレールの歩み

2024年10月9日

モノレール浜松町駅と羽田空港第2ターミナル駅までを結ぶ東京モノレール羽田空港線は、2024年9月に開業60周年を迎えました。1964年の東京オリンピックの開催前である同年9月17日に旅客営業を開始した東京モノレールは、現在に至るまでたくさんの乗客を運んできました。今回は、そんな歴史を重ねてきた東京モノレールのこれまでを振り返りながら、開業60周年を記念するイベントや企画などを紹介。東京モノレール株式会社の営業部長・辻󠄀内敏眞さんと営業部主査の山浦勝弘さんに、様々なお話をうかがいました。 60年間の歴史をプレイバック! ――東京モノレールは今年で60周年を迎えました。開業時の様子について、わか...

港区の水辺を知る!午前8時のモーニングクルーズで朝活体験

2024年10月2日

港区では、芝浦運河や東京湾などの多彩な水辺の観光資源を活かすために、様々な取り組みを行っています。2024年9月13日と25日には取り組みの一つとして、朝8時に芝浦運河などを巡るモーニングクルーズが開催されました。そこで今回は、港区観光協会水辺部会の部会長でもある株式会社ジール・代表取締役の平野拓身さんに、クルーズや水辺の魅力、環境の移り変わりなどをインタビュー。晴天に恵まれた第1回モーニングクルーズの模様もお届けします! クルーズ企画の目的と水辺部会の活動内容 ――はじめに、港区として初の試みとなるモーニングクルーズの目的をお聞かせいただけないでしょうか。「港区の水辺を盛り上げ、賑わいを...