南青山エリアを特集!「大人の愉しみ」が詰まったエリアで一日観光を満喫しよう
今月の特集は南青山エリアに注目。東京・港区の北東に位置する南青山は、最先端スポットが多い港区の中でも特にエッジの効いた最新カルチャーが集まり、古き良き日本の文化も融合したハイセンスなエリアです。青山一丁目駅から表参道駅にかけての青山通り沿いには自動車メーカーのショールームが立ち並び、個性豊かなミュージアムも点在するなど、大人の興味をそそる愉しさに溢れています。ここではそんな南青山エリアを一日観光するのにぴったりな4つのスポットをセレクト。いつでもフレッシュな街を体感しに出かけてみてください。
根津美術館 東洋・日本美術の美と自然の美が交差する空間
表参道駅のB1出口から少し歩き、南青山五丁目の信号を左手に曲がったところに延びるみゆき通り。かつて昭和天皇が明治神宮に参拝される際に使われた道であることにちなんで「御幸(みゆき)」という名が付けられた通りには、今はハイブランドのブティックが立ち並んでいます。そして、その通りの先にある竹林に囲まれた建物が根津美術館です。
昭和41年(1966)開館の根津美術館は、明治時代から昭和時代に活躍した山梨県出身の実業家、初代・根津嘉一郎が集めた東洋・日本美術コレクションを展示するために作られた美術館です。東武鉄道をはじめ数々の鉄道の敷設に関わり「鉄道王」と呼ばれた初代・嘉一郎。彼はその財を美術品の収集に注ぎ込み、4000点以上のコレクションを築き上げました。絵画、書蹟、彫刻、陶磁、漆工、木竹など所蔵品の分野は幅広く、現在その数は7400件以上を越えるそう。その中には国宝7件、重要文化財88件、重要美術品94件も含まれています。
現代日本を代表する建築家・隈研吾の設計による地上2階・地下1階建ての建物。その館内には合わせて6つの展示室があり、独自のテーマによる企画展のほか、様々な角度から収蔵品に光をあてた展示を観ることができます。毎年春に特別展示される尾形光琳作の国宝『燕子花図』はつとに有名で、茶人であった初代・嘉一郎が愛した茶の湯に関する銘品も見どころのひとつです。
1階ホールや中2階のラウンジからは一面ガラス張りの窓から茶室や石灯籠などが配された庭園を一望。石畳が敷かれた庭園の中を歩くこともでき、芸術の美と自然の美の両方を味わうことができます。
11月3日までは水墨画と白墨画という墨の絵画の魅力を日本の近世の作例から紐解く「モノクロームの冒険」を開催中。その後、11月14日から12月20日までは財団法人根津美術館の創設80周年を記念した特別展「根津美術館の国宝・重要文化財」が開催されます。本展は先述の国宝『燕子花図』を含め、同館所蔵の国宝・重要文化財全95点がすべて見られる、まさに特別な機会になります(「燕子花図屏風」は12/1-13のみ展示。ほかにも会期中展示替えあり)。
なお、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、オンラインでの日時指定予約が必須。公式ホームページから日時指定入館券を購入できるので、訪れる前に予約をお忘れなく。
カメヤマキャンドルハウス青山店 選ぶだけじゃなくオリジナルキャンドルも作れるキャンドルの殿堂
根津美術館のすぐ近く、歩いて2分ほどの場所にあるのがカメヤマキャンドルハウス青山店です。ここは日本のローソク、キャンドル用品のシェア50%を誇る老舗・カメヤマローソクの直営店。自社製造の商品やインポート品、手づくりキャンドルの材料など多彩なキャンドルが揃う専門店です。
ローソクの形に似た建物の中に入ると優しいアロマキャンドルの香りが鼻先をくすぐるはず。同社が扱うキャンドル商品の数はなんと3000種以上。そんな棚を埋め尽くすキャンドルの中で主力商品になっているのが、アメリカ生まれの「ヤンキーキャンドル」です。150種類以上の香りがあるヤンキーキャンドルは、一般的なアロマキャンドルと比べて3倍の香料を配合している“フレグランスキャンドル”。火をつけていなくても香りを放ち、燃焼時間とともに印象を変える香りの奥深さも人気の秘訣になっています。
また、焚き火気分を味わいたいなら「ウッドウィック」がおすすめ。このキャンドルは芯の部分が何と木でできていて、火を灯すとバチバチと心地よい音を奏でます。「ヤンキーキャンドル」「ウッドウィック」ともに複数のサイズ展開で、ライフスタイルに合ったものが選べるのも嬉しいですね。
本物のケーキさながらの「スイーツキャンドル」などのユニークなキャンドルも要チェック。ピラーキャンドルなどに使えるランタンやプレートもお手頃価格で豊富に揃えています。一方で火を使わないLEDキャンドルも取り扱い、誰もがローソクの癒しと触れ合えるアイテムに出逢えます。
なお、この店舗は国内会員数No.1のキャンドルスクールを運営する日本キャンドル協会のキャンドルスタジオを併設。初心者向けに2時間完結のワンタイムレッスンやインストラクターの資格が取れるコースなど幅広い教室を開催しています。イニシャル型やドーナツ型のキャンドル、ボタニカルグラス風やジェルアート風のキャンドルなど、インテリアになるような素敵なキャンドルがプロの指導で気軽に作れます。
受講は特別な準備なく手ぶらでOK(要予約)。お店の方によると「作れるキャンドルの種類はホームページで紹介していますので、種類と色合いをレッスンの前にイメージしておくと上手にできますよ」とのこと。マスクの着用、消毒、アクリルパネルの設置、講師の検温、ソーシャルディスタンスの確保など感染症防止対応も万全です。
紅ミュージアム 江戸女性がこよなく愛した「紅」と化粧の歴史を知る
カメヤマキャンドルハウスから骨董通りに出て左手にしばらく進むと、老舗化粧品メーカーの伊勢半本店が運営する紅ミュージアムに辿り着きます。クリエイティブなアイテムを扱うショップが集まる骨董通りにあって、ここは日本の化粧の歴史と文化を伝える日本でも珍しい展示施設です。
伊勢半本店は江戸時代の文政8年(1825)に紅屋(化粧用や絵具の紅、食紅などを製造販売する店)として始まった企業で、当時からの伝統を守る“最後の紅屋”として知られています。現在は7代目当主の指導のもと、二人の職人が紅花の花弁のみを原料に江戸時代と変わらない製法でひとつひとつ実直に紅を作り続けています。
2つの展示室があり、最初の展示室には「『紅』を知る」をテーマに紅の歴史や製法に関する解説や品々を展示。紅花の名産地だった出羽国(現在の山形県)から一大消費地だった上方(京都や大阪)まで運ばれる輸送ルートの解説や、黄色と赤色の色素が含まれる紅花の中からたった1%の赤色色素を抽出する伝統的な工程の展示を実際に使われてきた道具やビデオ解説とともに鑑賞できます。
もう一方の展示室には「『化粧』の歩み」をテーマに、主に江戸時代を中心とした化粧文化の歴史を紹介。赤、白、黒の三色のみだった江戸時代の化粧がそれぞれどんな場面で使い分けられたのか、当時の女性たちはどんな風に化粧を楽しんでいたのかという点を浮世絵や実際の化粧道具を見ながら知ることができます。近代に入った明治時代から昭和時代の頬紅や口紅の変遷を辿る展示もなかなか圧巻です。
どちらの展示室も道具の実物が見られることが何よりの魅力。紅花の花弁を乾燥して固めた「紅餅」や紅の入れ物になったお猪口、紅の抽出に使われた「ゾク(属布)」という繊維や蒸籠のほか、おしろい、口紅、お歯黒を塗るために使った道具などが鑑賞可能。外で化粧を直す時に使われた懐中道具のコレクションは、江戸の女性たちのおしゃれと粋が感じられる品々です。貴重な書物も見られて美容好きにとっても歴史好きにとっても見応え抜群!
また、併設のコミュニケーションルームでは、小町紅の無料体験が可能。お猪口に塗られて玉虫色に変化した本物の紅が生で見られるだけでなく、実際に塗ってもらうことができます。「男性でも体験される方がいらっしゃますよ」と担当者の方。ぜひ、自分の肌で伝統を感じてみてください。
サニーヒルズ 南青山 台湾の大地が育てた完熟果実の恵みを南青山のお土産に
観光やショッピングを終えて駅に戻る帰り道。もしお土産に迷ったら、サニーヒルズ 南青山のパイナップルケーキはいかがでしょう。「地獄組」という古来の木組みが独特の個性を放つ建物は、根津美術館と同じ隈研吾による設計。この建築を見るために南青山を訪れる外国人も少なくないそう。
パイナップルケーキは暖かい気候に恵まれた台湾の定番土産として人気のお菓子。ホロホロとしたクッキー生地の中に甘酸っぱいパイナップルのジャムが包まれたスイーツです。
台湾から直輸入で本場そのままの味が楽しめるサニーヒルズのパイナップルケーキは香料・添加物不使用にこだわり、クッキー生地にはニュージーランド産グラスフェッドバターを使用。ジャムには一年じゅう強い日光が照り付ける台湾中部の八卦山の畑で育てられた開英2号・3号というパイナップルが使われ、その甘酸っぱい味わいだけでなく、果実の持つサクサクとした繊維感もしっかり楽しむことができます。
同じく香料・添加物不使用で、素材を生かすことにこだわったりんごケーキも人気。青森県産の紅玉りんごを使い、素材本来の酸味と歯応えを生地の中に閉じ込めています。
従来は台湾の伝統的な「奉茶」の文化を大切にしたお茶の提供などのおもてなしが行われていますが、現在は感染症防止対応のため販売のみの営業。どちらのケーキも、かわいい布のバックが付いているので、子どもへのお土産や、ちょっとしたお持たせにもぴったりです。