【動画記事】創業100年の歩みを辿る!「クロネコヤマトミュージアム」で、大人も楽しめる社会科見学

ヤマトグループの創業100周年を記念して設立された「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」は、2020年7月2日にオープンしました。品川駅から徒歩10分ほどの場所にあるこのミュージアムには、ヤマトグループの歴史を学べる資料の展示や体験コーナーなどがあります。ゆっくりくつろげるカフェも併設。子どもはもちろん大人も楽しめるミュージアムを社会科見学気分で巡ってきました。

開放感あふれるエントランスで受付を済ませ、ミュージアムの中へ

ミュージアムのある10階建てのヤマト港南ビルは、もともとヤマト運輸の営業所(当時、宅急便センター)だった場所に建てられました。まずはエスカレーターで受付のある2階のエントランスへ。ガラス張りのエントランスは開放感があり、眺望も抜群。ビルに面した高浜運河を望むこともできます。手荷物などはロッカーや受付に預けることができますし、ベビーカーや車いすの貸出も行っているので、誰でも安心して見学することができます。受付で名前や電話番号等を記入したら、入館証をもらっていざゲートへ!

ゲートを通ると、まずはヤマト港南ビルの模型がお出迎え。実はこのビル、ヤマト運輸の営業所も入居する複合型施設なんです。模型を見るとよくわかりますが、ミュージアムのスロープの上下は、集配車が通る車路になっており、スロープと車路が二重らせんになった珍しい構造。建築関係者が見学に訪れたり、建築系雑誌に取り上げられたりすることもあるのだそう。

土日祝日など混雑時は入館待ち時間が発生することもあるので、のんびり見て周るのであれば比較的空いている平日がおすすめです。ただし、休館日には注意。事前に公式サイトで確認しておきましょう。また、10名以上の団体とアテンドツアー以外は予約不要なので、いつでも気軽に立ち寄れます。中にはウォーキングのついでに立ち寄る人もいるのだとか。

展示は6階からくだっていく、約1時間のコース

それでは、エレベーターで6階に上がり、見学のスタートです。ミュージアムの順路は6階からスロープをくだりながら2階のゲートまで戻ってくる1時間ほどのコース。じっくり見学して周ると、もっと時間がかかるので、予定のある方はペース配分に気を配りたいところです。

展示は、創業者である小倉康臣のコーナーがある「創業の時代」から。1919年に銀座でトラック運送会社として創業したところから、ヤマトグループの歴史がはじまります。当時の銀座の街を行き交う人々の様子がプロジェクションマッピングで再現されていました。

トラックの模型や、運転手の制服などにも注目です。じっくり見ていたら、このフロアだけでけっこうな時間が経ってしまうかも……。

展示では、創業者の先見性や社名の由来など、宅急便が誕生する前の歴史を知ることができます。円形のシアターでは、ヤマトグループとある家族の100年の歴史をぎゅっと10分ほどにまとめてアニメーションで紹介。約14メートルの大型ワイドスクリーンは大迫力です!

続いては「大和便と事業多角化の時代」のエリアへ。当時の豊富な資料と映像で、ヤマトグループがどのような事業を行ってきたのかが一目瞭然。輸送の総合デパートとしてミイラやゴッホのひまわりなども運んだそうです。

そして、ヤマトグループのシンボルマークである“親子の黒猫”の由来も明らかに! ネコマーク誕生のきっかけはアメリカの大手陸運会社との業務提携でした。

1960年代に入ると、ヤマトグループにもピンチが到来。長距離トラック輸送では同業者に遅れをとり、社会の発展に取り残されてしまいます。そんな、ヤマトの姿を空間デザインで表現。会社の経営が厳しく、どん底に落ちていく様子がひしひしと伝わってきます。

天井から垂れ下がるキャッチコピーが印象的なエリアを抜けると、いよいよ皆さんにもおなじみの「宅急便」が登場。「宅急便の時代」のエリアでは、ヤマトグループのピンチを救った宅急便のあれこれを知ることができます。

おなじみの宅急便が生まれるまでを、丁寧に紐解いていく

1976年に誕生した個人向けの宅急便は大ヒット商品となりますが、誕生までには苦難の道のりがありました。このエリアでは宅急便の生みの親でもある2代目社長の小倉昌男についても紹介。周囲の反対を押し切って開発されたヤマト運輸の宅急便は、NHKの人気番組『プロジェクトX~挑戦者たち~』でも取り上げられました。展示を見ていると、まるで中島みゆきの主題歌「地上の星」が聞こえてくるような?

その後、クール宅急便やスキー宅急便など、様々な配送商品やサービスが生まれます。利用したことがある人も多いのでは?

ヤマト運輸のセールスドライバーの制服の変遷も展示。しっかりとしたコンセプトがありつつ、細かくマイナーチェンジしていることがわかります。

歴代の情報機器や包装資材なども展示されているので、親子で「懐かしい」と盛り上がることができるかも。

宅急便体験コーナーでは、ヤマト運輸のセールスドライバーに変身!

さらに、子どもたちに大人気の宅急便体験コーナーでは、実際にヤマト運輸の制服を着て、荷物の積みつけ体験もできちゃいます。映像やパネルを参考にして、様々な形の荷物をきれいに積んでみましょう。

荷物の集配に使われていたウォークスルー車の展示では実際に乗車体験もできます。安全に作業しやすくするための工夫が施されたウォークスルー車は、ミュージアムの目玉の一つ。ヤマト運輸のセールスドライバー気分になれます。

展示も終わりに近づき、「新たな価値創出の時代」のエリアでは、未来に向けたヤマトグループの取り組みを紹介。「未来創造ラウンジ&ライブラリー」では、ミュージアム内で流れている映像を観たり、関連書籍を読んだりすることができる他、来館者が「未来の街」の姿を自由に描いて、壁に貼ることも。他の人がどんな未来の街を思い描いているのか、興味津々。

スタート地点の2階エントランスに戻ってきて、楽しい社会科見学は終了。せっかくなので、記念になにかお土産がほしいところ。受付では、ヤマトグループにまつわる関連書籍の他、ミュージアムオリジナルデザインの3色ボールペンや、A4クリアファイル、トートバッグなんかも買えちゃいます。おしゃれなデザインで、これは全部欲しくなる……。

さらに、併設されているヤマトグループのスワンカフェ品川港南店では、ネコマークが入った「クロネコどらやき」なども販売中。食べるのが少しもったいないけど、じっくりと炊き上げた北海道産の小豆あんがしっとり生地で包まれていて、もう絶品! 高浜運河を眺めながら、クロネコシロネコのイラストが描かれたミルクたっぷりカフェオレと併せてどうぞ。スワンカフェ品川港南店は、ヤマトグループの株式会社スワンが運営している店舗の1つです。株式会社スワンは、障がい者の自立と社会参加の支援を目的に、パンの製造・販売、カフェの運営などを行っており、現在では5つの直営店と20の加盟店を運営し、300名以上の障がい者が経済的な自立と社会参加をはたしているそうです。

今回、館内を巡った「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」のより詳しい情報や問い合わせ方法は、下記の公式ホームページをご確認ください。いつも利用している宅急便の歴史を楽しく学べることもあり、連日、学生グループから家族連れにカップルまで、様々な来館者が訪れるのだとか。皆さんもたまには散歩がてら大人の社会科見学を楽しんでみてはいかがでしょう。

《ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム》
https://www.yamato-hd.co.jp/museum/
写真撮影:島村緑

関連記事

南青山にオープン!「化粧文化ギャラリー」で知る化粧の歴史と面白さ

2024年11月14日

化粧品メーカーの株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(当時はポーラ化粧品本舗)は、化粧を学術的に研究することを目的として、1976年5月15日に「ポーラ文化研究所」を設立。以来、現在まで化粧文化に関する資料の収集や保存、調査研究、公開普及などを継続して行ってきました。そして、収集した資料や積み重ねてきた知見を紹介するための施設が港区南青山にオープン。2024年5月15日にポーラ文化研究所の新たな拠点として誕生した「化粧文化ギャラリー」では、展示や書籍で化粧文化を伝えると共に、ギャラリートークやワークショップなどのプログラムも実施しています。今回は、化粧文化ギャラリーのマネージャーを務める西...

港区を走る人力車!「東京みなと人力車 田中屋」の魅力

2024年12月18日

明治時代や大正時代に移動手段として活躍した人力車。今でも俥夫(しゃふ)が人を乗せた二輪車を引く姿を全国各地の観光地などで見ることができます。そんな人力車に港区でも乗れることはご存知でしょうか? 2024年10月から港区で本格的に営業をスタートした「東京みなと人力車 田中屋」の代表を務める田中宏典さんは、日本の伝統と文化を次の世代に伝えていきたいという思いで、今日も人力車を引いています。今回は俥夫として奮闘する田中さんと、定番のコースを紹介。港区内を巡る人力車の魅力をお伝えします。 増上寺を出発して東京タワーの見える路地をゆく スタート地点は、港区を代表する寺院の一つである増上寺。田中屋では増上...

開業60周年はイベント盛りだくさん!港区と羽田空港をつなぐ東京モノレールの歩み

2024年10月9日

モノレール浜松町駅と羽田空港第2ターミナル駅までを結ぶ東京モノレール羽田空港線は、2024年9月に開業60周年を迎えました。1964年の東京オリンピックの開催前である同年9月17日に旅客営業を開始した東京モノレールは、現在に至るまでたくさんの乗客を運んできました。今回は、そんな歴史を重ねてきた東京モノレールのこれまでを振り返りながら、開業60周年を記念するイベントや企画などを紹介。東京モノレール株式会社の営業部長・辻󠄀内敏眞さんと営業部主査の山浦勝弘さんに、様々なお話をうかがいました。 60年間の歴史をプレイバック! ――東京モノレールは今年で60周年を迎えました。開業時の様子について、わか...

港区の水辺を知る!午前8時のモーニングクルーズで朝活体験

2024年10月2日

港区では、芝浦運河や東京湾などの多彩な水辺の観光資源を活かすために、様々な取り組みを行っています。2024年9月13日と25日には取り組みの一つとして、朝8時に芝浦運河などを巡るモーニングクルーズが開催されました。そこで今回は、港区観光協会水辺部会の部会長でもある株式会社ジール・代表取締役の平野拓身さんに、クルーズや水辺の魅力、環境の移り変わりなどをインタビュー。晴天に恵まれた第1回モーニングクルーズの模様もお届けします! クルーズ企画の目的と水辺部会の活動内容 ――はじめに、港区として初の試みとなるモーニングクルーズの目的をお聞かせいただけないでしょうか。「港区の水辺を盛り上げ、賑わいを...