歴史上の人物たちに会いに行く!港区内の銅像めぐりツアー

港区内には、港区とゆかりのある人物たちの銅像がいたるところに点在しています。その多くは街中や公園にあり、そのエリアのシンボルとして人々に愛され続けてきました。長年その場所に佇む銅像たちは、何を考え、何を思うのでしょうか。どっしりと構えた迫力ある銅像から、こじんまりとした可愛らしい銅像まで、港区内にある銅像をめぐってきました。

有栖川宮熾仁親王の騎馬像はインパクト大!

スタートは、有栖川宮熾仁親王の騎馬像が設置されている有栖川宮記念公園から。南麻布にある有栖川宮記念公園は、江戸時代に旧盛岡藩主南部美濃守の下屋敷があった場所で、明治29年(1896年)に有栖川宮家の御用地となり、大正2年(1913年)には高松宮家の御用地となりました。記念公園として一般解放されてからは、人々の癒やしのスポットに。園内は緑豊かで、ウメやサクラ、ハナミズキなどをはじめとした四季折々の草花を楽しむことができます。

丘陵や渓谷、湖畔などの地形の変化に富んだ公園は散策にぴったり。ゴイサギやキジバト、ハクセキレイやヒヨドリなど、様々な野鳥が飛来することでも知られています。

広尾駅側から園内に入り、丘陵を登っていくと広場に出ます。開放感のある広場に設置された有栖川宮熾仁親王の騎馬像は大迫力そのもの。敢然たる姿にしばし見とれてしまいます。

有栖川宮熾仁親王(1835-1895)は、有栖川宮家九代目の親王で、戊辰戦争では東征大総督となって官軍を率い、江戸城を無血開城させました。熾仁親王は、この地で晩年を過ごす予定でしたが、居住することなく亡くなっています。騎馬像は彫刻家の大熊氏広によるもので、明治36年(1903年)に千代田区三宅坂の旧参謀本部構内に建立されました。そして、昭和37(1962年)年には、熾仁親王ともゆかりの深いこの公園に移設されています。

園内には、他にも舟越保武作・笛吹き少年の像や、朝倉響子作・新聞少年の像などが設置されています。

「赤い靴」のモデル・きみちゃんの物語

有栖川宮記念公園から、15分ほど歩くと、麻布十番商店街に到着します。ここには、野口雨情の童謡「赤い靴」のモデルになった赤い靴の女の子・きみちゃん像が建ってます。

野口雨情によって大正10年(1921年)に詩が書かれ、翌年に本居長世によって曲がつけられた「赤い靴」。詩のモデルになった岩崎きみちゃんは、様々な事情から3歳のときにアメリカ人宣教師の養女になります。きみちゃんがアメリカで幸せに暮らしていると信じる母のかよさんは、雨情にこのことを話し、「赤い靴」が書かれました。しかし、きみちゃんは結核のためにアメリカには渡らず、明治44年(1911年)、9歳のときに当時の麻布永坂町の孤児院で亡くなります。母と子の愛の絆を託したきみちゃん像は、平成元年(1989年)に商店街のパティオ十番に建てられました。

きみちゃん像の足元にある募金箱に入れられたお金は、毎年ユニセフに寄付されているそうです。

乃木将軍の人となりを伝える像が園内に

きみちゃん像から歩いて25分ほどの場所にある乃木公園は、日清・日露戦争を戦った陸軍大将の乃木希典(1849-1912)の邸宅地跡。乃木将軍の遺言によって土地が東京都に寄附され、大正2年(1913年)に公園として開設されました。園内に残る旧乃木邸の内部は年に3回、一般公開されています。

旧乃木邸のすぐ側には、乃木将軍と辻占売少年像が建っています。「辻占(つじうら)売り」とは、御籤の入った菓子を売り歩く人のことで、この銅像は、明治24年(1891年)に金沢を訪れた乃木将軍が8歳の辻占売を生業とする少年に出会ったことに由来します。

乃木将軍は、一家の生活を支える少年の姿に感銘を受け、金二円を手渡します。少年はその恩を忘れることなく、努力を重ね、金箔業の世界で大きな実績と残しました。そんな乃木将軍の人となりを伝えるために、昭和34年(1959年)に旧ニッカ池の縁に銅像が建てられ、平成13年(2001年)にこの公園に移設されました。

緑に囲まれた高台に、高橋是清翁の像が佇む

乃木公園のすぐ近く、歩いて10分ほどの場所にある高橋是清翁記念公園には、高橋是清翁像があります。大正から昭和初期にかけて、総理大臣や大蔵大臣を務めた高橋是清(1854-1936)の像は、階段を少し上がった高台に鎮座していました。

高橋是清は、昭和11年(1936年)の2.26事件によって、この世を去りました。その高橋是清の邸宅があった土地を高橋是清翁記念事業会が東京都に寄附し、昭和16年(1941年)に記念公園として開園。昭和50年(1975年)には港区に移管されています。銅像は戦時中に撤去されていましたが、昭和30年(1955年)に再建されました。

園内は、きれいに整備されていて、まるで庭園のようです。

港区にゆかりのある銅像には、それぞれ由来があり、歴史を感じさせてくれます。今回、ご紹介した各エリアの銅像をめぐるには、ゆっくりと歩いて3時間ほど。とてもいい運動になるはず。ウォーキングがてら、銅像をめぐってみてはいかがでしょうか。

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