芝浦の新たなランドマーク「BLUE FRONT SHIBAURA」で体験するベイエリアの過ごし方

港区芝浦の「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」は、野村不動産とJR東日本が共同で推進している浜松町ビルディング(旧東芝本社ビル)の建て替え事業によって誕生した大規模複合施設です。プロジェクトは区域面積約4.7ha、延床面積約55万㎡にも及ぶ広大な敷地に、高さ約230mのツインタワーを建設するという壮大なもの。その第一歩として、2025年9月1日には南側の1棟目「TOWER S」が開業しました。オフィスやホテル、商業店舗などを擁するこの場所が目指すのは、都市と自然、ベイエリアと東京都心部を「つなぐ“まち”」。今回は、一般の方も利用できる「TOWER S」のパブリックスペースや商業エリアを中心に、「BLUE FRONT SHIBAURA」の魅力をお伝えします。

浜松町駅から続く緑のアプローチ「GREEN WALK」

通路はアンブレラフリー&バリアフリー設計で、雨の日でも傘をささずに移動が可能

JR・モノレールの浜松町駅南口を出ると、約200本もの植栽に彩られた「GREEN WALK(グリーンウォーク)」が現れます。この通路は駅と施設をつなぐだけではなく、南北に伸びる緑のアプローチそのものが心地よい憩いの場となっています。取材日は平日でしたが、オフィスワーカーが行き交いながら、同時にベンチで休憩する人の姿も見られました。また、通り沿いにはカフェやイタリアン、アメリカンダイニングといった3店舗の飲食店が並びます。

「浜松町ビルディング」(左)と「TOWER S」(右)

「GREEN WALK」を進むと見えてくるのが、ツインタワーの南側1棟目「TOWER S」。その横には、このエリアのシンボルだった「浜松町ビルディング」が立ち並んでいます。浜松町ビルディングは2棟目の「TOWER N」(2030年度竣工予定)の建設に向けて、解体が始まりました。(2025年11月時点)。新旧の建物が並ぶこの景色は、街が生まれ変わる過渡期だけの貴重な光景と言えるかもしれません。

カーボンニュートラルにも貢献

「GREEN WALK」は、JRの線路や東京モノレールの軌道桁とも並行しているため、行き交う新幹線やモノレールを間近に眺めることができるのも魅力の一つ。また、夜間は通路がライトアップされ、昼間とは違った表情を見せてくれます。ちなみに、ライトアップに使われる電気の一部は、「グリーン水素発電システム」で賄われています。このシステムは、太陽光発電の電気で水を分解し、いったん水素として貯蔵します。そして、必要なときに水素で発電し、照明や共用コンセントなどに電力を供給するエコな仕組みになっています。

緑と大地を感じる「GREEN DINING HALL」

奥にはテラス席が用意されている

「TOWER S」の1階フロアへは、「GREEN WALK」から緑の小道を通って、直接行くことができます。「TOWER S」の低層階および外構部の商業エリアは“まちのコミュニティハブ”をテーマにしており、飲食店舗を中心に約30店舗が集結。食事をするだけの場所ではなく、パブリックスペースとして、誰もがその日の気分に合わせて心地よい時間を過ごせるよう設計されています。

飾られている植物は本物

1階のメインエリアとなるのが、安らぎを感じる緑に包まれた空間の中で、ゆったりと思い思いの時間を過ごせるオールデイダイニング空間の「GREEN DINING HALL(グリーンダイニングホール)」。足を踏み入れた瞬間、驚かされるのは緑の多さ。まるでジャングルの中に迷い込んだかのような空間が広がります。ここには、おむすびやサラダの専門店、スープカレー、イタリアンバルなど、バラエティ豊かな6店舗が軒を連ねています。

写真は「HOUSE」エリア

約350席のホールは、使い方に合わせて3つのエリアに分かれているのが特徴。「PARK」エリアは飲食物を含めた持ち込みがOK。仕事や勉強に集中したり、友人とのおしゃべりを楽しんだりと、オフィスユーザーや地域の方が朝から晩まで自由に過ごせる場所となっています。「HOUSE」エリアは終日レストラン席として機能し、「RESORT」エリアは17時までは持ち込みや飲食以外の利用が可能で、17時以降は隣接する「HOUSE」エリアの店舗メニューを楽しめるレストラン席へと切り替わります。

定期的に入れ替わるポップアップエリア

「GREEN DINING HALL」の一角はコンセプチュアルなポップアップエリアになっており、展示や物販はもちろん、体験型イベントやワークショップなども開催。取材時(2025年11月)は横浜市の工務店による家具の展示と物販が行われていました。

開業時には「かざぐるま」モチーフのインスタレーションが広場を彩った

「GREEN DINING HALL」を田町駅側に抜けると、開放感あふれるスペースが広がります。「TOWER S」の玄関口でもある「サウスプラザ」には、円形のベンチが配置されており、誰でも気軽に座って休むことができます。また、街の活性化につながるイベントなども定期的に実施。12月5日(金)から25日(木)までは、クリスマスツリーの設置とイルミネーションを点灯する、「光の中で遊ぶ体験型イルミネーションイベントBLUE FRONT CHRISTMAS 2025」が予定されています(※イルミネーションの点灯は 2026 年 1 月 18 日まで)。広場の中央には、本物のもみの木を使ったクリスマスツリーも登場。幻想的な光に包まれるクリスマスのひとときは、きっと特別な思い出になるはずです。

イルミネーションイベント「BLUE FRONT CHRISTMAS 2025」
https://www.bluefrontshibaura.com/news/news_20251120.pdf

運河を望む社交場「CANAL DINING HALL」

平日も土日祝も朝から夜まで営業

エスカレーターで2階へ上がると「水辺と風」をコンセプトにした「CANAL DINING HALL(キャナルダイニングホール)」が広がります。共用席は約410席。カウンターやソファ、テラス席などが誰でも利用可能です。店舗は焼き鳥や蕎麦、タイ料理など8店舗あり、注文はQRコードを読み込むモバイルオーダー式。席にいながら複数店舗の料理をまとめて注文することもできます。

17時までは1階の「GREEN DINING HALL」と同様に飲食物の持ち込みもOK

食事だけでなく仕事や勉強をしてもOK。友人同士のおしゃべりにも花が咲きそうです。まるで社交場のように、人々が自由に交わることのできる場所になっています。

吹き抜けの空間に映えるアート作品

館内に点在するパブリックアートも見どころの一つ。「CANAL DINING HALL」の天井を見上げると、巨大なファスナーのようなアート作品『無限大をひらく』が飾られていました。アーティスト・鈴木康広氏の作品で、2棟のタワーをつなぐファスナーが「無限大(∞)」を描いている様子を表現しているのだとか。よく目を凝らすと、ファスナーを構成する無数のエレメントの中に「BLUE FRONT SHIBAURA」の形をしたものが紛れ込んでいます。ぜひ探してみてください。

「DRINK STAND 1-1-1(ドリンクスタンド スリーワン)」のスタッフがサーブ

17時まではフードコートスタイルで、17時以降はスタッフがサーブするレストラン方式に切り替わり、ゆったりと食事を楽しめる空間へと変貌。昼はカジュアルに、夜は少し贅沢に、その日の気分で使い分けることができます。

テラス席ではDJブースを設置した音楽イベント等も実施可能

230席あるテラス席は芝浦運河に面しており、爽やかな風を感じながら思い思いに過ごすことができます。このテラス席では、ペットの同伴も可能です。

オリジナル船はヤンマーと野村不動産のコラボレーション

テラス席は、芝浦運河の船着場の「BLUE FRONT SHIBAURA PIER」にも直結。船着場からは現在、イベント限定でクルーズ船が発着しています。また、オリジナル船も2026年春に運行がスタート。ホテル「フェアモント東京」と連携したラグジュアリーなサービスを提供する予定だそうです。

多彩なジャンルの料理やお酒を楽しむ「RESTAURANTS」

飲食店の選定などには、野村不動産グループが運営するグルメタワー「GEMS(ジェムズ)」の知見が活かされている

2階フロアには、9店舗が集まる「RESTAURANTS」ゾーンもあり、ラーメンや寿司、沖縄料理や中華料理など、バラエティに富んだジャンルの店が並びます。また、誰でも利用できる「HubSpace(ハブスペース)」も設けられており、食事の合間の休憩や待ち合わせなどにぴったりです。

“芝浦のホームタウンビール”を味わうことができる

「RESTAURANTS」ゾーンには、クラフトビール醸造所「SIBAURA BREWING」も。ここでは、良質な自然の恵みを使ってビールを醸造。できあがったビールは「DRINK STAND 1-1-1」でいただくことができます。「空を飲む、海を飲む」というコンセプトの通り、開放的な「CANAL DINING HALL」で味わう一杯は格別です。

自然の息吹を感じるオフィスエントランス

オフィスワーカーが待ち合わせなどに利用

2階の商業エリアに隣接するオフィスエントランスロビーには、水の流れる壁や木々が設置され、自然の安らぎを感じさせる演出が施されていました。

角度によって見え方が変わるアート作品

3階のオフィスロビーで、特に目を引いたのは大きな油絵でした。アーティストのフランシス真悟氏による『Ring of Light』と名付けられた5枚の連作は、1枚が2.6m×2.6mという迫力あるサイズ。五行思想に基づく円環によってエネルギーの循環を象徴し、都市・自然・人をつなぐ存在として描かれています。

ラウンジはオフィスロビーの裏手に位置

ビルの入居者専用ラウンジである「CANAL LOUNGE(キャナルラウンジ)」の壁には、野村不動産グループが奥多摩に保有している「つなぐ森」の木材が使用されており、環境への配慮と温かみのある空間づくりがなされていました。

奥には野村不動産のサテライト型シェアオフィス

3階の共用部分にはコンビニやカフェ、シェアオフィスなどを完備。自由に過ごすことのできる「コミュニティスペース」も併設されています。

コンセントも完備している「コミュニティスペース」

芝浦の新しい顔として動き出した「BLUE FRONT SHIBAURA」は、水辺ならではの新しいライフスタイルを創造する場所でした。風を感じるテラス、緑あふれるダイニング、そして感性を刺激するアート。それらすべてが調和し、訪れる人々に心地よい時間を提供しています。会社帰りに仲間と、休日に家族と、なんでもない日に友達と、ふらっと訪れてみてはいかがでしょう。きっと、進化し続ける芝浦の“今”を体感できるはずです。
《BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S》
所在地:東京都港区芝浦1-1-1
ショップ&レストランの営業時間:平日7:00~23:00、土曜日9:00~23:00、日曜日・祝日9:00~22:00
※店舗により営業時間は異なります。
休館日:年末年始(12月30日~1月4日)
※その他、詳しくは下記の公式サイトをご確認ください。
https://www.bluefrontshibaura.com/

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