「1チョコ」で世界に広がる笑顔!『森永製菓』が芝浦の新本社から発信するメッセージ

甘い香りと華やかな色彩に心が踊るバレンタイン。毎年2月14日には、親しい友人や仲間、そして大切な相手を思い浮かべながらチョコレートを選ぶという人も多いのではないでしょうか。実は、手に取ったそのチョコレートがカカオ産地の子どもたちの笑顔や、地域社会の活動につながっているとしたら……。2024年に港区芝浦で竣工した「森永芝浦ビル」に本社を構える食品メーカーの森永製菓株式会社では、2008年から「1チョコ for 1スマイル」という活動を続けています。“カカオの国の子どもたち”を支援する目的でスタートしたこの取り組みは、赤道近くの国々に変化をもたらし、2026年には地元小学校への出張授業という形で地域にも深く根を下ろそうとしています。今回は、同社コーポレートコミュニケーション部の渡辺啓太さんに、「森永芝浦ビル」のこだわりや、「1チョコ for 1スマイル」の取り組み、さらには港区での活動について、じっくりとお聞きしました。

防災拠点と交流の場を兼ね備えた新オフィスが誕生

環境共創型オフィスとして設計された森永芝浦ビル

――まずは、新本社ビルについてお聞かせください。老朽化した自社ビルを建て替えて、2024年3月に地上7階・地下1階建ての新しい「森永芝浦ビル」が誕生しました。格子状の外観が非常に印象的ですが、デザインにはどのような意図があるのでしょうか。

「実はあの格子状の鏡面デザインは、単なる装飾ではなく、“光と風”を取り込む工夫なんです。光を反射させて室内に効率よく採り入れ、窓を開ければ自然な風の流れも生まれます。こうした仕組みで、照明や空調に頼りすぎない、省エネにつながる建物を目指しました。他にも、正面玄関(ピロティ)の天井部分や建物内の壁・柱などには木材が使われていますが、これは創業者である森永太一郎の出身地である佐賀県伊万里市の伊万里材を取り入れています」

半屋外の正面玄関ではイベントなどの開催も可能

――最新の技術と創業の精神がミックスされたビルということですね。

「新本社ビルは、ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを目指す“2030ビジョン”と、弊社の企業理念を体現する場所として設計されました。1972年からこの地にあった自社ビルを建て替える際に、私たちが大切にしたことの一つが“地域社会との共生”です。例えば、1階のエントランスホールは、万が一の災害時に帰宅困難者の方などを受け入れる一時避難場所としての機能を備えており、入口側のスペースは、あえて物を置かずに広々とした空間を確保しています。こうした設計は、地域の防災や減災を図るためのものです」

緊急時には帰宅困難者などの受け皿になるエントランスホール

――1階ではカフェも営業していますね。

「1階の『KOMOREBI cafe(コモレビカフェ)』は、従業員だけでなく一般の方も自由にご利用いただけます。オフィス街という土地柄、近隣でお勤めの方や住民の方々がふらりと立ち寄り、コミュニケーションが生まれる。そんな“地域に開かれた空間”を目指しています。芝浦や田町というエリアは、かつて弊社の工場があった場所でもあり、非常に縁が深い土地です。ここで事業を継続できる喜びを、地域の皆さまへの貢献という形で返していきたいと考えています」

カカオの国の子どもたちを支えた18年の歩み

カフェでは通販でしか購入できない焼菓子などの商品も販売中

――では、御社の「1チョコ for 1スマイル」についても詳しく伺いたいと思います。2008年からスタートし、2026年で18年目を迎えるこの活動ですが、そもそものきっかけをお教えください。

「はじまりは、2008年に当時のマーケティング担当者が、チョコレートの原料であるカカオの産地が抱える深刻な課題を知ったところからでした。カカオ産地における児童労働や教育環境の不備など、私たちが美味しいチョコレートを届ける一方で、その源泉を支える人々が苦しんでいる現実がある。メーカーとして何ができるかを模索しはじめたのが、ちょうど森永チョコレート90周年の節目だったんです」
――そこから、カカオ産地の農家や子どもたちを支援する取り組みがはじまったんですね。

「この活動の最大の特徴は“お客様参加型”であることです。キャンペーンやコラボ企画など、寄付につながる年間の取り組みはいくつかあるのですが、特に象徴的なのが、バレンタイン時期を含む約1ヵ月半の特別期間キャンペーンです。期間中、コンビニやスーパーなどで、『ダース』や『小枝』、『カレ・ド・ショコラ』といった森永チョコレートの対象商品をお客様が1個購入されるごとに、1円が寄付されるという仕組みです。近年は『森永ミルクココア』や『板チョコアイス』なども対象に加わり、より幅広いカテゴリーでご参加いただけるようになりました」

2026年は1月5日からバレンタイン当日の2月14日まで開催

――「1円」という分かりやすさが、長続きの秘訣かもしれませんね。実際に、これまでの支援でどのような変化が生まれているのでしょうか。

「昨年までの17年間の累計寄付金額は約3億4,000万円に達し、支援した子どもの数は1万7,000人を超えました。印象的なのは、かつて児童労働をしていて、教育を受けられなかったガーナのゴッドフレッドさんという方のエピソードです。小学生の頃から支援を受けて学校に通い続けた彼は、大学を卒業し、今は教師として子どもたちに教えています。取り組みがスタートした当時は、まだサステナビリティという言葉も定着していない時代でした。その頃から支援を受けた子どもが大人になり、次の世代を育てるというのは、まさに私たちが目指してきた持続可能な支援の形です」
――業界では先駆けて取り組んできたということだと思います。渡辺さんご自身もカカオ産地を訪れたとお聞きしました。

「はい。2023年にガーナを訪問しました。現地では給食の提供や地域住民による児童労働監視ボランティアの組織化など、着実に自立へ向けた仕組みが出来上がっていることを実感しました。私たちが行っているのは、単に物を贈るだけの“点”の支援ではなく、支援が終わった後も、その地域が自分たちの力で子どもを守りながら、カカオ栽培で収入を向上させていける“自立”した仕組み作りです。そうした意識を持ちながら、パートナーである国際NGOのプラン・インターナショナルさんや、日本生まれのNGOであるACE(エース)さんらと共に、継続的な支援を続けていきたいと思っています」

お菓子を通じて社会課題を“自分ごと”にする学びの場

コーポレートコミュニケーション部の渡辺啓太さん

――将来的な数値目標などは設定されているのでしょうか。

「実は、具体的な数値目標は掲げていません。なぜなら、カカオ産地の課題は一社だけで解決できるものではないからです。私たちが一番大切にしているのは、この活動を通じて“カカオの国の現状を知ってもらうこと”そのものです。例えば、昨年の夏休み時期には、学研キッズネットさんと協力しながら、『1チョコ for 1スマイルサマーキャンペーン』と題したキャンペーンを行いました。“チョコレートができるまで”を考えてもらうワークシートを配布したり、自由研究EXPOというイベントでカカオ豆を展示するブースを出したりと、まず子どもたちに“知ってもらうこと”を目的にしました。このキャンペーンでは、イベントへの参加はもちろん、キャンペーンサイトを訪れたり、ワークシートをダウンロードしたりするだけで寄付につながる仕組みにしました。それは、子どもたちが情報を得て、考えること自体に価値があると考えているからです。そうして知ってもらい、活動の輪が広がっていくことが何よりも大切なことだと考えています」
――知ることが寄付につながるというのは、素晴らしいですね。

「そうなんです。このキャンペーンでは『“なるほど!チョコレート”かべ新聞コンテスト』という催しも行いました。コンテストは自作のかべ新聞を作ってもらうというもので、全国の小・中学生たちが本当に熱心に調べて、カカオの国のピンチや私たちの取り組みを自分の言葉でまとめてくれました。こうした学びの連鎖が、将来のより良い社会を作っていくのだと確信しています」

エントランスホールには活動を紹介するパネルも展示

――2026年2月には、芝浜小学校での出張授業を予定されています。港区における地域連携についてもお聞かせください。

「芝浜小学校は弊社の目の前にあり、毎日、子どもたちが元気に登下校する姿を社員みんなで見守っています。そんな地元の主役である子どもたちに、私たちが世界で取り組んでいることを直接伝えたい、顔を合わせて一緒に学びたいという思いから今回の授業が実現しました。当日は、弊社の代表取締役社長COOである森信也が講師を務めます。授業では、動画やクイズ、ワークショップを通じて、子どもたちも大好きなチョコレートの裏側にある社会課題を“自分ごと”として考えてもらいます。SDGsの“誰一人取り残さない”という理念を、机上の空論ではなく、一粒のチョコレートから実感してほしいんです」
――社長自らが講師をされるとは驚きです。地域の子どもたちにとっても、忘れられない授業になりそうですね。

「実はこの『未来ラーニング』という出張授業は、特定の部署だけでなく、私を含む多くの従業員が講師として各地の学校に赴いています。お菓子という、子どもたちにとって非常に親和性の高いツールがあるからこそ、難しい社会課題も真っ直ぐに伝わるのではと考えています。地元の芝浜小学校から、世界を変えるような意識を持った子が育ってくれたら、これほど嬉しいことはありませんね」

お菓子を通じて社会課題を伝えていく

――新本社ビル1階の「KOMOREBI cafe」も含め、地域の方々との交流を大切にされていることが伝わります。

「現在、カフェのある1階フロアでは活動内容を紹介するパネル展示を行っています。先ほどお話しした『かべ新聞コンテスト』の優秀作品なども展示していますので、ぜひご覧いただきたいですね。ちなみに、カフェのコンセプトは、新本社ビルのテーマと同じ“撹拌(かくはん)”です。人が集まり、混ざり合い、新しいアイデアや笑顔が生まれる場所。お手頃な価格設定ということもあって、近隣の方々からは居心地の良い場所ができたと好評をいただいています。昨年の秋に開催された『たまちハロウィン』の際も、1,000人近い方々にお越しいただき、着ぐるみのキョロちゃんに駆け寄る子どもたちの笑顔を見て、この地に根ざすことの意義を改めて実感しました。また、今年度は『1チョコ for 1スマイル』の特別期間中である2月2日(月)~2月13日(金)の期間にカフェをご利用いただいた各日先着30名様に『ダース』をプレゼントする企画を実施いたします。この機会に是非お立ち寄りいただければと思います」

カフェは伊万里の森をイメージ

――最後になりますが、2026年のバレンタインを過ごす皆さまにメッセージをお願いいたします。

「バレンタインは1年の中で、最もチョコレートが主役になる特別な日です。大切な人へ想いを届ける方や、自分へのご褒美を楽しむ方、それぞれに幸せな時間が流れていることと思います。私たち菓子メーカーとしての願いは、その幸せの輪を“チョコレートを作る人たち”にまで広げていただくことです。皆さまの手にする一粒が、海を越えたカカオ産地の子どもたちの学校や給食になり、一人の若者の夢を叶える力になる。バレンタインが少しでもカカオの産地に目を向けるきっかけになればうれしいですね」
《1チョコ for 1スマイル》
https://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/

《KOMOREBI cafe》
所在地:東京都港区芝浦1丁目13-16 森永芝浦ビル1階
営業時間:平日のみ8:30~16:30

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