お茶ブームが到来!港区で味わう伝統と革新の日本茶体験

「日本茶」や「抹茶」は、日本国内だけではなく、アジアや欧米へと広がり、健康志向の高まりや日本食への関心を背景に大きなムーブメントを巻き起こしています。実際に、日本茶の海外輸出量は右肩上がりで増え続けており、地上波のニュース番組でもその盛り上がりが特集されるほど。こうした世界的な関心の高まりを受け、本場である日本でおいしいお茶を味わいたいと、多くの外国人観光客が日本を訪れています。そんな中、港区には古くからの伝統を大切に守りながらも、現代の感性を取り入れた新しいお茶の楽しみ方を提案する名店が数多く存在します。今回は、都会の喧騒を忘れさせてくれる静謐な茶寮から、普段使いにぴったりの開放的なカフェ、そして老舗が提案する新しいテイクアウトスタイルのショップまで、個性が光る4つの店舗を厳選してご紹介。奥深くて新しい日本茶の世界を紐解いていきます。

「松葉屋茶寮・方舟GALLERY」で感じる静謐な茶の空間

茶寮とギャラリーが一体となった日本文化の新拠点

南青山の骨董通りに、都会の忙しさをふっと忘れさせてくれる隠れ家のような「松葉屋茶寮・方舟GALLERY」がありました。一歩足を踏み入れると、そこにはあえて照明の明るさを落とした静謐な空間が広がっています。季節の盆栽や古美術、現代アートが柔らかな光に照らされて浮かび上がる様子は、まるで別世界に迷い込んだかのよう。

じっくりと盆栽を愛でることができる

暗がりがあるからこそ、目の前にあるものだけに集中し、盆栽の繊細な枝ぶりや古美術の質感を楽しむことができます。

茶席の奥に設えた茶室「緑閑庵」

同店では、椿建築デザイン研究所の手による一畳の茶室「緑閑庵」を備え、視覚・味覚だけでなく、空間そのものが持つ「間」や「静寂」を通じて、訪れる人の心を整えるサウンドトリートメント体験を提供しています。

店舗では茶葉も販売中

提供しているお茶は、全国の契約農家から厳選された「シングルオリジン」の茶葉が中心。その土地の風土(テロワール)が感じられる茶葉の多くは無農薬・有機栽培で育てられたもので、スタッフが産地へ足を運び、茶摘みを体験することもあるといいます。

香り高いこだわりの煎茶

淹れ方へのこだわりも徹底しており、茶葉本来の甘みと旨味を最大限に引き出すため、抽出温度と時間を秒単位で調整。煎茶の他に玉露も取り揃えており、カウンター越しに目の前で丁寧に淹れられる一杯は、まるでお出汁のような濃厚な旨味が広がり、苦味を抑えた優しい味わいです。

「抹茶ティラミス」と煎茶のセット

おすすめのメニューは、注文を受けてから香り高い抹茶を振りかけて仕上げる「抹茶ティラミス」。添加物を使わず、シンプルな素材だけで作られているため、後味は驚くほど軽やかです。また、数種類のお茶とお菓子を自由に組み合わせられるコース「二茶二菓」も人気。その日の気分に合わせた自分だけのペアリングを楽しむことができます。お菓子は同じビル内の工房で毎朝作られた出来たてが味わえるのだとか。

目の前で行われる抹茶のお点前も人気

訪日外国人旅行者から「東京の真ん中に、これほど静かに禅(Zen)を感じられる場所があるとは」と驚きの声が上がったり、日本の若い世代がお気に入りのキャラクターのアクリルスタンドと盆栽を一緒に写真に収めたりなど、幅広い層が来店。年末の注連縄(しめなわ)作りワークショップやお餅つきなど、季節の伝統行事を体験できるイベントも好評だそうです。

店名には「変わらない美しさ」と「継承」への想いが込められている

日本の伝統文化や農業技術が失われつつある現代において、お茶や盆栽、建築といった日本の美意識を現代的な感性で再構築し、次世代へ、そして世界へと繋いでいくための場所でありたいと願う「松葉屋茶寮・方舟GALLERY」。デジタルデバイスに囲まれた現代において、同店はまさに「心の避難所」と言えるかもしれません。最高の一服と共に、自分自身と向き合う静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
《松葉屋茶寮・方舟GALLERY》
東京都港区南青山5-4-27 Barbizon104 1F
営業時間:10:00~20:00(L.O19:30)
定休日:不定休
※その他、詳しくは下記の公式サイトへ
https://mtbysr.jp/

「CHAYA 1899 TOKYO」で過ごす安らぎのティータイム

同店は2020年2月にリニューアルオープン

「街の茶屋で、ゆるやかな時間を日常に」というコンセプトを掲げた「CHAYA 1899 TOKYO」は、新橋・御成門エリアにあるホテル一体型の日本茶専門カフェ。ホテル・レストラン運営の老舗「龍名館」が手がけるブランドで、創業年である1899年を店名に冠しています。カフェ内は、五感でお茶の魅力を感じられる工夫が随所に散りばめられ、現代的な開放感と伝統的な和の温もりが心地よく調和していました。

自然光を取り込む大きなガラス窓

店内は木漏れ日が差し込み日本家屋の「縁側」をイメージしており、落ち着いた雰囲気。
ガラス張りの明るい空間で、おしゃべりに興じるもよし、お茶をいただきながら読書を楽しむもよし。自由に過ごすことができそうです。

特徴的なペンダントライト

和傘をモチーフとしたペンダントライトが目を引きます。他にも、畳の四畳半の組み合わせを表現した床タイルや、インテリアとして置かれている茶箱などにも注目です。

余白を活かしたインテリア棚

カフェの奥の棚に並ぶのは、お茶スイーツのパッケージや、職人の手仕事が光る茶器の数々。さらに、抹茶の歴史を紐解く洋書や抹茶菓子の専門書などが配置され、単なるディスプレイを超えた「お茶のある暮らし」を提案してくれます。

同店を訪れた際にぜひ味わいたいのが、看板商品でもある「六煎茶(ろくせんちゃ)」。お茶の名産地である掛川、本山、狭山、八女、都城・串間、知覧の6つの産地から厳選された茶葉を、熟練の茶匠・宮野圭司氏がこのブランドのためだけに合組(ブレンド)したオリジナルのお茶です。一口飲めば、濃厚な旨味が口いっぱいに広がり、その後に爽やかな渋みと緑の香りが心地よい余韻として残ります。

一煎目は苦みを抑えるために湯冷ましした状態で提供

一煎目はスタッフが温度管理を徹底し、最も美味しい状態で提供。その後は付属のお湯ボトルを使って、自分自身の手で二煎目、三煎目と、味わいの変化も楽しめます。

ミルクに茶筅で点てた濃い抹茶を加えたラテ

抹茶好きから熱い支持を受けているのが「濃茶ラテ」。使用する抹茶の量を3gから6gまで4段階で選べるのが特徴です。自分好みの濃さを追求できるのは、専門店ならではの嬉しいポイント。濃厚な抹茶の風味とミルクのまろやかさが溶け合い、爽やかな苦味がアクセントとなって、何度でも飲みたくなる味わいです。

中央の抹茶パンは「パンとコーヒー馬場FLAT店」との共同開発

抹茶パンや酒茶ケーキ、ジェラートなどのスイーツもおすすめ。茶道でも使用される上質な宇治産抹茶を3.5%使った「濃茶」のジェラートは、絶品の一言。食事メニューも充実しており、3年連続で神田カレーグランプリの決勝に進出した「和出汁キーマカレー」は、ランチタイムの人気メニューです。

「CHAYA 1899 TOKYO」はお茶がテーマの「ホテル1899東京」の1階で営業中

「CHAYA 1899 TOKYO」では、毎月「ティーカレッジ」という日本茶セミナーを定期開催するなど、お茶の楽しみを広める活動にも注力。店舗での体験をきっかけに、お茶の深い世界に魅了されるお客様も多いそうです。「一期一会」というお茶の世界の言葉を大切にし、心を込めたホスピタリティでもてなしてくれる同店は、都会の真ん中にありながら、心からリラックスできる「現代の茶屋」と言えそうです。
《CHAYA 1899 TOKYO》
東京都港区新橋6-4-1ホテル1899東京1F
営業時間:朝食7:30~10:30、カフェ11:00~17:00(L.O16:30)
定休日:不定休
※その他、詳しくは下記の公式サイトへ
https://1899.jp/hotels/tokyo/chaya-1899-tokyo/

「中村藤吉麻布台店」で見つける運命の一杯

「中村銘茶」の暖簾が目印

東京の新たなランドマークとして注目を集める麻布台ヒルズ。そのガーデンプラザBにあるのが、京都・宇治に本店を構える老舗のテイクアウト業態として、2023年11月にオープンした「中村藤吉麻布台店」です。安政元年の創業以来、お茶の本質を追い求めてきた中村藤吉が、ここではテイクアウトを中心とした新しいスタイルで日本茶の魅力を発信しています。

左横にあるテイスティングスペースでお茶を試飲できる

まず目を引くのが、暖簾のすぐ横にある日本茶のテイスティングスペース。スタッフの案内のもと、煎茶や玉露、ほうじ茶など、常時10種類ほどのお茶を試飲しながら、香りや味わいの違いを体感することができます。

京都の宇治川を意匠に取り入れたカウンター

お気に入りのお茶を見つけたら、それをストレートで楽しむもよし、アレンジメニューやデザートドリンクとして楽しむもよし。自分にぴったりの一杯を選ぶ過程そのものにワクワクします。

同店の名物でもある「中村茶」

店名を冠した「中村茶」は、煎茶や玉露など、性質の異なる7種類の茶葉を秘伝の割合で合組した特別なブレンド茶。複数の茶葉を秘伝の割合と方法で合組することで、誰が淹れても美味しく味わえるように仕上げています。まろやかなのに、さっぱり。あっさりしているのに、コクがある。温度によって煎茶の清涼感が際立ったり、玉露の重厚な旨味が顔を出したりと、変幻自在な味わいを楽しめるのが最大の魅力です。

カスタマイズできる「抹茶(薄茶)とミルク」

豊かな香りが際立つ抹茶ラテの「抹茶(薄茶)とミルク」もおすすめです。抹茶の原料となる「碾茶(てんちゃ)」は、日光を遮って育てることで旨味成分を蓄え、石臼で丁寧に挽くことで非常に細かく香り高い粒子になります。この上質な抹茶にミルクを加えたラテは、深くまろやかな甘みと、奥行きのある香りが特徴。健康意識の高まりを受け、ミルクをオーツミルクやソイミルクに変更したり、シロップ抜きで抹茶本来の味を楽しんだりと、自分好みのカスタマイズをする方も増えているのだとか。

季節によって栗や苺などが入った限定の「まるとドリンク」も販売

お茶をベースに、抹茶の生茶ゼリイや抹茶クランブル、クリームなどを合わせた「まるとドリンク[抹茶]」は、“飲める日本茶スイーツ”として人気。「まると」は「中村藤吉」の屋号でもあり、ドリンクの表面には“丸に十”の意匠が施されています。

丸テーブルに並ぶピーカンナッツを抹茶チョコでコーティングした「オチャノタネ」も人気

麻布台店では、お茶やデザートドリンクなどの他に、ティーバッグやスイーツなどの物販も充実。麻布台ヒルズでのショッピングや散策の合間にふらっと訪れてもいいかもしれません。伝統の技を大切にしながらも、現代のスピード感やライフスタイルに合わせた提案を行っている「中村藤吉麻布台店」。お茶の試飲やスタッフとの対話、オリジナルのドリンクメニューなどによって、きっと新しい日本茶の魅力に気づかされるはずです。
《中村藤吉麻布台店》
東京都港区虎ノ門5-9-1麻布台ヒルズガーデンプラザB (地下1階)
営業時間:10:00~20:00
定休日:営業時間、休館日は麻布台ヒルズガーデンプラザに準じる
※その他、詳しくは下記の公式サイトへ
https://tokichi.jp/

「一保堂茶舗 青山店」の体験型空間でお茶を楽しむ

表参道駅から、根津美術館の方向へ歩くことおよそ10分。
ファッションブランド店舗が多く立ち並ぶ通りを過ぎたあたりに位置するのが、2025年8月29日にオープンした「一保堂茶舖 青山店」です。

特徴的な「茶」の看板がかかる店舗入口

店舗は階段を上がったビルの2F。抹茶をはじめ、⽟露、煎茶、番茶(ほうじ茶や⽞⽶茶)など多種類の⽇本茶売り場はもちろんのこと、お茶の淹れ方やお茶を楽しむアイデアを体験できる喫茶室や不定期で開催するお茶のイベントなど、お茶にまつわるあれこれを楽しめる空間が広がります。

「開放的な喫茶室」

一保堂茶舖は1717年創業。300年以上にわたり、日本茶と真摯に向き合ってきた老舗です。京都本店を軸に、時代に合わせて進化を続け、現在は国内外で多くの人に日本茶を届けています。
一保堂茶舖青山店は、“⻘⼭で茶葉に出会う”をコンセプトに都会の中⼼で静かに茶葉と向き合うひとときをお届けできる場所でありたい、という願いを店舗計画の軸にしました。

青山店限定抹茶 SEIZAN 薄茶1,980円

青山店のためにつくられた抹茶「SEIZAN(青山)」。一保堂のレギュラー抹茶が持つ重厚感とは異なり、苦味を抑えた爽やかで軽やかな味わいが特徴なのだとか。旨みはしっかりと感じられ、抹茶に親しみのない人でも楽しめる仕上がりになっており、濃茶でも薄茶でも、楽しめます。

ジャムを添えたトースト お茶付

だしいなりとお茶のセット

3種類の抹茶を楽しめる「抹茶グーモン」

フードメニューも特徴的。CrēAPA主宰・田中博子さんのジャムを添えた「パン屋塩見」のトーストとお茶のセット、だしいなり海木のだしいなりとお茶の組み合わせ、3種類の抹茶を味わう「抹茶グーモン」など、日本茶の世界を広げるメニューが並びます。

地中をイメージした売場空間

店舗にはお茶に詳しいスタッフが常駐しており、売場に並ぶ、抹茶、玉露、煎茶、番茶(ほうじ茶・玄米茶)など、多彩な日本茶の中から、日々の暮らしに取り入れやすいもの、贈り物に適した銘柄まで、スタッフと相談しながら選べます。
また、お茶の時間をより美味しく、心地よくするための急須などの道具類も充実。売り場にキレイにレイアウトされています。

2026年春には、東京・麹町にキッチン設備を備えた「Room Ippodo」をオープン予定。青山店と連携しながら、より立体的に一保堂の世界観を体験できる場づくりが構想されています。
都会の中心に存在する一保堂茶舗青山店で、静かに茶葉と向き合うひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
《一保堂茶舗 青山店》
東京都港区南⻘⼭4-23-6 2F
営業時間:10:00~18:00(L.O 17:30)
定休日:月曜
※その他、詳しくは下記の公式サイトへ
https://www.ippodo-tea.co.jp/pages/store-aoyama

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