東京・港区で運気をアップ! シェアサイクルに乗って人気御朱印巡りの旅

昨今、誰でも気軽に始められる趣味として愛好者が増えている御朱印巡り。東京・港区にも御朱印マニアたちが絶えない霊験あらたかな神社仏閣がたくさんあります。割と近い範囲の中に幾つかの寺社が集まっているので徒歩でも一日に数カ所を周ることができますが、より効率的に移動するならシェアサイクルが便利。そこで今回は「港区自転車シェアリング」のシェアサイクルを利用して、御朱印巡りの旅に出かけてみました。

桜田公園を起点に、まずは「烏森神社」へ

この日の御朱印巡りで利用するのは、港区内に137カ所のポート(2021年4月現在)がある「港区自転車シェアリング」のシェアサイクル。赤いカラーリングが特徴で、電気自転車なので漕ぎ出しや坂道もラクラク走れる強い味方です。スマホに「バイクシェア」アプリをダウンロードして利用者登録をすれば誰でも利用可能。アプリからは最寄りのポートをマップ上で検索できて、利用開始20分前から予約もできます。利用料は30分ごとの課金制で最初の30分は165円。その後、30分ごとに110円が加算されるシステムです。

まず初めに訪れたのは、新橋にある「烏森神社(からすもりじんじゃ)」です。平安時代の天慶3年(940)創建という由緒ある神社は、五穀豊穣の神様である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)、天孫降臨伝説の主役・瓊々杵尊(ににぎのみこと)とともに、芸能の神様である天鈿女命(あめのうずめのみこと)をご祭神として祀っています。

新橋駅前のオフィスビルや飲食店に囲まれたにぎやかな立地。そして必勝祈願や商売繁盛の御利益があることから、私たちが訪れた午前中にはピシッとしたスーツ姿の方々がたくさん参拝に訪れていました。それ以外にも、出勤前と思しき方々が通りすがりに鳥居の前で一礼して過ぎていく様子からは、市民の暮らしの中に溶け込んだ神社であることが伺えます。

手水舎で身を清めて神様にお詣りした後は、ついに御朱印をいただきます。なお、新型コロナウイルス感染防止のため、今は多くの寺社で御朱印帳へのお書き入れは行っておらず、あらかじめ御朱印が書き置きされた和紙をいただく方法が主流になっています。

烏森神社の御朱印は、中心に社紋、四隅に赤、黄、青、緑の巴紋が入っているカラフルな御朱印です。社紋にあしらわれた烏はつぶらな瞳がとってもキュート。また、雛祭りの桃色御朱印や夏越大祓の銀色御朱印といった限定御朱印も人気です。この日は例大祭の時期だけの金色御朱印も発見。そちらも素敵なので迷ったけれど、やはり最初の一歩は基本の御朱印を選びました。

「ようこそお参りくださいました」と巫女さんから声をかけられながら御朱印をいただきます。実は御朱印をいただくのは初めての経験なので受け取る両手にはちょっとした緊張感…。人生初の御朱印を見つめていると、何だか神様のパワーをもらえた気分になりました。

強運のパワーがもらえる「芝大神宮」

次は芝大門にある芝大神宮へ。烏森神社からは新虎通りを横切りながら自転車で5分ほどの距離。初めて訪れた芝大神宮は、白で統一された参道に同じく白い鳥居が映える清楚な景色が印象的です。

平安時代の寛弘2年(1005年)に天照大御神(あまてらすおおみかみ)と豊受大神(とようけのおおかみ)を伊勢神宮から勧請して現在の飯倉に創建。その後、慶長3年(1598)に現在の場所に移された芝大神宮。

創建のゆかりから「関東のお伊勢さま」として知られ、強運(きょううん)よりさらに強いという「強運(ごううん)」や縁結びのご利益で、関東一円から広く信仰を集めてきました。東京十社のひとつでもあり、千年以上の長い歴史の中で源頼朝や徳川幕府からも篤い信仰を受けてきた神社からは、江戸と東京の街を見守ってきた神々しいオーラを感じます。

両脇から狛犬が見下ろす石段を上がってお詣りをし、授与所で御朱印を拝受。ここでは御朱印と一緒に、道中安寧のお守りと境内にある生姜塚にちなんだ生姜飴をいただくことができます。なお、「だらだら祭り」が行われる9月の例大祭の時期には限定の御朱印もあるそう。

参拝を終えて「恋昇鯉みくじ」で運だめしをしていると、本堂の前には初宮参りの御祈願を終えたばかりのご家族の姿が。まだ生まれてまもない赤ちゃんと、赤ちゃんを囲むご家族の姿を見て何だかほっこり。ちゃっかり幸せな気分をおすそ分けしてもらいました。

芝大神宮

社伝によると、平安時代の中ごろに伊勢宮の分霊をまつったといわれる都内有数の古社。芝大神宮という名称は明治以降のもので、それ以前は飯倉神明宮、芝神明宮などと呼ばれていました。芝の神明で思い出すのは、文化2年2月に神明境内で行われた四つ車大八、水引清五郎などの勧進相撲と、このあたり一帯を縄張りとする火消し、め組の鳶との間に起こった、「め組の喧嘩」ですが、神明の門前は当時の港区でもかなりにぎやかな繁華街でした。江戸時代、相撲や芝居は寺社の境内で興行することを許され盛んになりました。芝居は江戸三宮芝居の一つとして、正保2年(1645)芝神明境内で行われたのが最初といわれています。毎年9月に行われる「だらだらまつり」は期間の長いことからその名がついたといわれ、祭礼中に境内やその付近で生姜を盛んに売ったことから生姜市とも呼ばれています。小伝馬町の「べったら市」と共に有名で、浮世絵にも描かれたほど江戸庶民の楽しい行事のひとつでした。まつりの期間中、境内では生姜、千木筥(箱)、甘酒が売られます。千木筥(箱)は雷よけとも、千木が千着に通じるところからタンスの中に入れておくと着物が増えるともいわれる小判型の檜割籠。階段下には、不動貯蓄銀行を興した牧野元次郎の業績を記念する貯金塚が建っています。

多彩な御朱印でファンの心を掴む「宝珠院」

三件目は芝公園内にある宝珠院へ。芝大神宮からは芝公園の北側をぐるりと回って8分ほどの距離。芝公園3丁目の交差点から銀杏坂を上るあたりは周囲の緑が心地よいルートです。東京タワーを横目に自転車を漕ぎ、春のさわやかな風を感じながら宝珠院にピットイン。

宝珠院は、隣接する増上寺の霊玄上人によって貞亨2年(1685)年に開創された寺院。港七福神の弁財天としても知られ、御本尊である阿弥陀如来とともに、徳川家康公ゆかりの秘仏・開運出世大辨才天や港区指定文化財である高さ2メートルの木彫り閻魔大王像を祀っています。本堂の隣には大きな弁天池があり、東京タワーを借景にした緑溶け込む水辺の景色に癒しを感じるスポットです。

本堂で目の当たりにした閻魔様は、グイっと釣り上がった眉と口を大きく開いた表情に圧倒される迫力。ギラギラとした目ヂカラは、こちらの迷いを見透かすような威厳に満ちています。

また、境内には「ヘビがカエルを食べる、カエルがナメクジを食べる、ナメクジがヘビを溶かす」という三者の習性をもとにして平和への思いを込めた「三竦(すく)みの像」があり、これを探すのもひとつの楽しみ。ヘビとカエルは比較的簡単に見つかったのですが、ナメクジだけは意外なところに…。ぜひ現地で探してみてください。

宝珠院の基本のものだけで4種類の御朱印があり、そのほかにも月替わりの御朱印や小さなまめ御朱印など、ご利益に合わせて多彩な御朱印が選べます。ここもやっぱり目移りしちゃうけど、今回は最もベーシックな「阿弥陀如来」の御朱印をいただきました。

少しにぎやかになった御朱印帳を眺めていると、近くに同じ御朱印巡りと思しきご婦人の姿が。勇気を出して「御朱印巡りですか?」と聞いてみると、分厚い御朱印帳を取り出しながら「次はタワー大神宮の御朱印をもらいにいくんですよ」とご婦人。へぇ〜、東京タワーでも御朱印がもらえるんだ。今日は難しいけれど、今度来た時には必ずコースの中に入れよう。

港区ゆかりの偉人を祀る「乃木神社」

宝珠院からは次の乃木神社までは六本木を通りながら約15分の道のり。地下鉄に乗ってしまったら見られない景色に逢えるのが、都心の自転車旅の醍醐味。アップダウンのある道のりも電動サイクルならスイスイ。

乃木神社が創建されたのは大正12年(1923)。御祭神の乃木希典将軍は、日清・日露戦争などで武功をあげ、晩年には昭和天皇の教育に携わるなど、忠義と文武両道を貫いた明治の偉人。現在の境内は、同じく御祭神として祀られている静子夫人と過ごした邸宅の隣地にあたります。

乃木坂をすぅーっと下って到着した神社の境内は、まさに「都会の喧騒から離れた」という言葉がぴったりな荘厳な雰囲気。二つの鳥居をくぐり抜けて小石が敷き詰められた参道を歩くだけでも、この地に積もるパワーをじんじんと感じます。

乃木将軍夫妻のゆかりから、勝負運や仕事運のほか、夫婦和合の神様として恋愛運にもご利益があるとされる乃木神社。最期まで信念を貫いた乃木将軍の生涯に想いを馳せながら参拝を終え、この日4か所目の御朱印をいただきました。

なお、境内には、赤坂王子稲荷神社と正松神社という二つの神社が鎮座しています。このうち、赤坂王子稲荷神は、幾重にも連なった鳥居がとってもフォトジェニック。御朱印旅の最後に思い出写真も撮れました。
新橋の烏森神社から赤坂の乃木神社まで、約5.5kmの道のりで4つの御朱印をゲット。参拝も含めて4時間ほどの気持ちいい自転車旅になりました。運動にもなって健康的だし、密もない趣味なので、これからもハマってしまいそう。東京・港区にはこのほかにも増上寺や愛宕神社、赤坂氷川神社など、御朱印集めで人気の神社やお寺がいっぱいあるので、ぜひ便利なシェアサイクルを使って、思い思いのコースで巡ってみてはいかがでしょう。

関連記事

港区の水辺を知る!午前8時のモーニングクルーズで朝活体験

2024年10月2日

港区では、芝浦運河や東京湾などの多彩な水辺の観光資源を活かすために、様々な取り組みを行っています。2024年9月13日と25日には取り組みの一つとして、朝8時に芝浦運河などを巡るモーニングクルーズが開催されました。そこで今回は、港区観光協会水辺部会の部会長でもある株式会社ジール・代表取締役の平野拓身さんに、クルーズや水辺の魅力、環境の移り変わりなどをインタビュー。晴天に恵まれた第1回モーニングクルーズの模様もお届けします! クルーズ企画の目的と水辺部会の活動内容 ――はじめに、港区として初の試みとなるモーニングクルーズの目的をお聞かせいただけないでしょうか。「港区の水辺を盛り上げ、賑わいを...

南青山にオープン!「化粧文化ギャラリー」で知る化粧の歴史と面白さ

2024年11月14日

化粧品メーカーの株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(当時はポーラ化粧品本舗)は、化粧を学術的に研究することを目的として、1976年5月15日に「ポーラ文化研究所」を設立。以来、現在まで化粧文化に関する資料の収集や保存、調査研究、公開普及などを継続して行ってきました。そして、収集した資料や積み重ねてきた知見を紹介するための施設が港区南青山にオープン。2024年5月15日にポーラ文化研究所の新たな拠点として誕生した「化粧文化ギャラリー」では、展示や書籍で化粧文化を伝えると共に、ギャラリートークやワークショップなどのプログラムも実施しています。今回は、化粧文化ギャラリーのマネージャーを務める西...

開業60周年はイベント盛りだくさん!港区と羽田空港をつなぐ東京モノレールの歩み

2024年10月9日

モノレール浜松町駅と羽田空港第2ターミナル駅までを結ぶ東京モノレール羽田空港線は、2024年9月に開業60周年を迎えました。1964年の東京オリンピックの開催前である同年9月17日に旅客営業を開始した東京モノレールは、現在に至るまでたくさんの乗客を運んできました。今回は、そんな歴史を重ねてきた東京モノレールのこれまでを振り返りながら、開業60周年を記念するイベントや企画などを紹介。東京モノレール株式会社の営業部長・辻󠄀内敏眞さんと営業部主査の山浦勝弘さんに、様々なお話をうかがいました。 60年間の歴史をプレイバック! ――東京モノレールは今年で60周年を迎えました。開業時の様子について、わか...

“模型沼”にようこそ!タミヤの新拠点にワクワクが止まらない

2024年8月7日

プラモデルやRCカーにミニ四駆まで、様々な模型を取り扱う総合模型メーカーのタミヤが新橋・虎ノ門エリアに、直営施設の「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」をオープン。約6,000アイテムのタミヤ製品を取り揃えており、施設内にはカフェやイベントスペースも併設されています。「タミヤの今が、ここにある。」をコンセプトに、模型文化を世界に発信するタミヤのフラッグシップ拠点を訪れました。 フラッグシップ拠点が新装グランドオープン! 新橋4丁目の新虎安田ビル1階にある「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」は、かつて新虎通りと赤レンガ通りの交差点にあった「タミヤ...