日本の国際化は港区から!お手軽世界ツアー

現在、日本には約140カ国の大使館があり、その半数以上が港区にあります。こんなにも港区に多い理由は、日本の開国までさかのぼります。

1854年の日米和親条約をもって鎖国が解かれた日本に、国交を求める多くの外国の公館が必要になりました。最初の外国公使館は4つあり、アメリカは善福寺に、イギリスは東禅寺に、フランスは済海寺に、オランダは西応寺に置かれ、それら全ては現在の港区に位置していました。接遇する格のある寺院を港区が多く有していたこと、そして横浜や江戸城に近かったことなどからと言われています。また警備の関係からも一箇所に集まるメリットも生まれ、明治以降に旧大名家から没収していた屋敷の跡地も提供されるなどして、次々と外国公館が港区に建てられることになりました。

現在も大使館が多く置かれているのは、こうした歴史的背景がベースにあるからなのです。移転や改築で開国時のものを残す建物は少ないですが、それぞれの国の大使館では、その国の空気を少し感じることが出来ます。港区内でぐるりと世界旅行に出てみてはいかがでしょう。

フランス大使館 - 館最初の公使館のひとつで三田から南麻布へ

最初の公使館のひとつフランスは、1859年に三田の済海寺にまず領事館が、1861年には公使館が設置されました。
1874年までこの地に置かれ、現在の済海寺の境内には最初のフランス公使宿館跡の碑が残されています。

現在地・南麻布の在日フランス大使館庁舎は2009年作られたもので、新庁舎は鳥のようなアーチを持つ近代的な洗練された外観が特徴的です。一般公開はされていませんが、中には徳川時代から続く庭園が残されています。

オランダ大使館 - 鎖国時代唯一の交流国オランダ

日本が開国する400年以上前から、西洋で唯一国交のあったオランダは、最初の4公使館の1つとして、1859年に芝の西応寺に公使館が開設されました。1883年に現在の芝公園に移転してきましたが、1923年の関東大震災後の火災で焼失。1928年に再建され、現在に至ります。

弓なりの弧を描いたような特徴的なデザインは、鎖国時代の貿易地、長崎の出島をモチーフにしているといわれています。大使公邸は都内でも有数の古い西洋建築で、日本における西洋建築の第一人者アメリカ人建築家ジェームズ・ガーディナー氏の貴重な遺産でもあります。

ドイツ連邦共和国大使館 - 歴史とともに移転

現在のドイツ北部であるプロイセン最初の領事館が1862年に横浜の外人居留地に作られたのち、その4年後の1866年に元麻布の春桃院(仙台坂・韓国大使館向かい)に移設されました。現在の春桃院は南麻布に移転しています。1872年永田町に移転しましたが、第二次世界大戦の空襲で消失してしまいました。

戦後に、日本政府から現在の土地を提供され、南麻布に移転してきました。大使公邸は1957年に作られた建物が当時のまま残っています。

スウェーデン大使館 - 太陽の光を取り込むアートな建物

1901年に神戸に領事館が設置されたのち、1959年港区に移転してきたスウェーデン大使館。現在の建物は1991年にミカエル・グラニートと加藤吉人の設計により、新設されたものです。現代アートのようなモダンな建物は、太陽の動きから発想を得て作られ、影ができないように設計されているそう。2階〜9階まで建物全体が太陽の光をとりこみやすい螺旋階段状になっています。一般の人が参加できるイベントやセミナーも不定期で開催されています。

アフガニスタン・イスラム大使館 - 文化の交差点 アフガニスタンを感じに

麻布台の閑静な一角に佇むエキゾチック宮殿のような建物がアフガニスタン・イスラム大使館です。日本とアフガニスタンの国交は1930年に結ばれ、1933年板倉の地に公使館が開設されたのち、2008年に現在の場所に移転してきました。

現在は渡航が難しいアフガニスタンですが、パキスタンや中国、イランなど多くの国に囲まれて、さまざまな国の文化が混じり合った、美しい文化をもった国です。外観からでも、異国の風を感じられる、魅力的な大使館です。

大使館タイムトラベルツアーマップ


関連記事「港区タイムトラベルツアー」

ビジネスとトレンドの発信地、港区には時代を先取る様々な新スポットが作られています。実はそれは時代をさかのぼってみても同じことなんです。港区には様々な時代の歴史的トレンドスポットがたくさん!そして、今もなおそのスポットが多数残されています。

そんな港区にある歴史的トレンドスポットを4つのテーマでめぐる、それが港区タイムトラベルです。ぜひ、お好きなテーマで時代をさかのぼってみてくださいね!

関連記事

“模型沼”にようこそ!タミヤの新拠点にワクワクが止まらない

2024年8月7日

プラモデルやRCカーにミニ四駆まで、様々な模型を取り扱う総合模型メーカーのタミヤが新橋・虎ノ門エリアに、直営施設の「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」をオープン。約6,000アイテムのタミヤ製品を取り揃えており、施設内にはカフェやイベントスペースも併設されています。「タミヤの今が、ここにある。」をコンセプトに、模型文化を世界に発信するタミヤのフラッグシップ拠点を訪れました。 フラッグシップ拠点が新装グランドオープン! 新橋4丁目の新虎安田ビル1階にある「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」は、かつて新虎通りと赤レンガ通りの交差点にあった「タミヤ...

茶道や手巻き寿司を体験。八芳園で“日本文化”に触れるひととき

2024年1月25日

約1万坪の広大な日本庭園を有する八芳園は、2023年に創業80周年を迎えました。江戸時代から続く日本庭園は、誰でも入場無料で散策でき、四季折々の景色を楽しむことができます。そんな日本の美と伝統を伝えてきた八芳園に、「日本文化体験」という新しいプランが誕生しました。いくつかあるコンテンツの中から、今回は海外の方にも人気だという「茶道体験」と「手巻き寿司体験」を紹介します。 庭園の中で“茶の湯”の世界に浸る 港区白金台にある結婚式場やレストランなどを手掛ける八芳園は、地下鉄の白金台駅から徒歩1分ほど。目黒駅や品川駅などの主要な駅からはタクシーで5分ほどです。まずは正門をくぐって、本館に向かいましょ...

麻布台ヒルズの『チームラボボーダレス』で体験する“混ざり合う世界”

2024年6月15日

2024年2月9日に、世界的に人気の「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」が、東京・お台場から麻布台ヒルズに移転開館しました。リニューアルした「チームラボボーダレス」は、世界初公開の新作《Bubble Universe》をはじめ、70以上の作品群によって構成されています。移転開館に伴い、約560台のエプソン製プロジェクターと、高パフォーマンスを実現する約540台のエプソン製パソコンにより境界のないアート群がさらに進化。より「さまよい、探索し、発見する」ために没入感を高めるなど、空間のアップデートも行われたそうです。そんな、これまで以上にパワーアップした「チーム...

開館記念オラファー・エリアソン展も開催中!麻布台ヒルズでアートを巡る

2023年12月19日

2023年11月24日に開業した麻布台ヒルズは、オフィスや住宅、ホテルや商業施設、インターナショナルスクールや予防医療センターに文化施設などが集まった最先端のコンパクトシティです。自然と調和した敷地内には、パブリックアートが点在し、文化の発信基地となる麻布台ヒルズギャラリーでは、様々な展示を開催予定。そんな「街全体がミュージアム」の麻布台ヒルズをアートの視点で紹介します。 日本一の高さを誇る森JPタワーを体感! 港区の虎ノ門5丁目と麻布台1丁目と六本木3丁目にまたがる麻布台ヒルズの敷地面積は約6万4,000㎡と、東京ドーム1.4個分。施設の一部は東京メトロ日比谷線の神谷町駅と直結しており、アク...